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教師インタビュー

byマガジン編集部 マガジン編集部

小島若葉さん(Waka Language Laboratory)

日本語教師としての「私の流儀」

東京や大阪など各地の日本語学校で経験を積まれ、現在はWaka Language Laboratoryを起業してプライベートレッスンをされている「小島若葉」さんにお話を伺いました。

小島若葉女史のプロフィール】

大学卒業後、インターン制度を利用し、オーストラリアの高校で日本語教師のアシスタントとして勤務。

帰国後、養成講座で日本語教師の資格、編入した大学で国語の教員免許を取得。

オーストラリアの高校の姉妹校という縁で、愛知県の高校で日本人に国語を、交換留学生に日本語を教える。また、その学校の特別姉妹校という縁で、オーストラリア・シドニーの日本人学校でも国語を教えた。

生徒指導と古典・漢文が苦手と感じ、日本語教師に絞ることを決意。東京にある日本語学校で専任教師として勤務し、転勤族の夫について名古屋や大阪の日本語学校でも非常勤として授業を担当。

2020年3月にWaka Language Laboratoryを起業。オンラインで日本語のプライベートレッスンを行う。それ以外にも、Podcastで日本語学習者向けにアニメ、ジャニーズなどをテーマにオタク話を、Mediumというブログで文法解説を、インスタで夫の料理の写真と日本語のオノマトペを組み合わせて配信するなど、SNSを活用して活躍中。

日本語教師養成講座420時間修了

日本語教育能力検定試験合格

https://waka-language-laboratory.jimdofree.com/

Medium https://kojimawakaba.medium.com

Instagram @uehara.wakaba

Podcast https://anchor.fm/waka-language

note https://note.com/wakaba21

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

国語が好きだったので、将来は言葉に関係した職業につきたいと思っていました。当時、女性の会社員はお茶汲みやコピーなどアシスタント的なことをやらされるイメージだったので、教師や研究者がいいと思っていました。中学の時に日本語教師という職業があるのを知り、海外で教えるのもいいなと思いました。

 

Q.日本語教師としてのこだわりを教えてください。

生徒が何を知りたいのか、何を学びたいのか、どんなペースがいいのか、レッスン内容はすべて生徒主体でデザインします。漫画でも哲学書でもビジネスの交渉でも生徒の興味に合わせてやっています。

 

元々は『みんなの日本語』などの教科書を使用した授業も行っていましたが、教科書以外のアイドルやアニメに興味を持っている学習者が多いことを知り、そういった学習者を対象にした授業をしたことがありました。それをきっかけに、生徒主体の授業スタイルにたどり着きました。嵐のDVDを貸してくれたり、『呪術廻戦』をおすすめしてくれたり、学習者からテーマのアイデアを得ることも多いです。

 

Q.今はどのような方を教えていらっしゃるのでしょうか。

2021年6月までは、自身の会社であるWaka Language Laboratoryと渋谷外語学院を兼業していました。渋谷外語学院では、週2回、中上級クラスを担当していました。イタリアの大学の単位認定校になっていることもあり、イタリア、ドイツ、フランスといったヨーロッパの学生が多かったです。

 

現在はWaka Language Laboratory専業になり、8人の学習者に、自宅でオンラインのプライベートレッスンをしています。学習者は、チリ、コスタリカ、韓国、台湾、アメリカ、オーストラリア、フィリピンと多国籍です。

 

全員が大学院生や社会人で、半数がJLPT N1に合格済みの超級です。自分の興味がある分野について話せるようになりたい、若者言葉が知りたい、政治情勢について話したいという思いをモチベーションに日本語を勉強されています。古典や哲学書をリクエストされることもあるため、国語の教員免許を取得した経験も活きています。

 

Q.学習者のリクエストに基づいた授業とのことですが、どんな教材を使っていらっしゃいますか。

生徒が読みたいという本やニュース、ウェブサイトの記事、アニメなどを使用しています。今までの例だと、『きみはどう生きるか』『山谷がけっぷち日記』『120の遺言書』『キッチン』といった書籍、『進撃の巨人』『呪術廻戦』『リラックマ』といったアニメです。嵐の動画をもとに授業を行ったこともあります。

 

JLPT対策本も生徒の希望によって使用していて、『完全マスター』等を使った授業をリクエストされることが多いです。現在は7月のJLPTに向けてN4、N3、N1の対策レッスンをしています。

 

Q.日本語教師としての武勇伝を教えてください。

非常勤として勤務していた日本語学校が、コロナの影響で2020年3月から全てオンラインになりました。学生たちはなかなか外に出られず、教師以外の日本人と話すこともできない閉塞的な状況でした。なんとかいろいろな日本人に会って話す機会を作りたいと思い、Facebookでほとんど連絡を取っていなかったサッカージャーナリストの同級生、さらにその友達のお坊さんや、Twitterで知り合ったJRの駅員さん、オンライン講座で知り合った小学校の副校長などにオファーしまくって、日本語のクラスにZoomでゲスト出演してもらいました。意外にも断られたことはなく、オファーの成功率は100%です。

 

お坊さんには、自身の仕事や生活の様子について話してもらったり、コロナ禍でのストレスの鎮め方について教えてもらったりしました。JRには企画書を送り、職員の方と一緒に電車アナウンスのやさしい日本語について考えました。

 

学習者からは、「自分たちはもう中上級なのでやさしい日本語にしなくても分かります」という自信に溢れた意見や「普段会うことができない人と話すことができておもしろかったです」という嬉しい意見がありました。

 

Q.日本語教師として働くうえでの喜びを感じるのはどのような時ですか。

学習者の言いたかったことが日本語で表現できた時や、知りたかった言葉の意味が分かって納得できた時です。

 

具体的なエピソードとしては、『進撃の巨人』の巨人が人間を食べる気持ち悪いシーンがあるけれど、単に「気持ち悪い」だけでなく、もう少し詳しく言いたいという学習者がいました。どのように気持ち悪いのかを聞き出したり、「生々しい」や「グロい」といった類似語彙の解説をしたりしました。その結果、「巨人が人間を食べるところは、血が出たり中の肉が見えたりして、描写が生々しくてグロい」という言い方に変わりました。聞き手がもっと詳しく話を聞いてみたいと思えるようないい表現が見つかり、学習者と2人で納得し合いました。

Q.逆に、苦労はどんなものがありますか。

学習者は一人一人趣味も個性も習得のスピードも得意なやり方も違うので、レッスンで気付いたこと、インタビューで聞いたこと、リクエストなどはすべてデータとして取っておき、その人だけのレッスンを作っていきます

 

そのため、同じJLPTの教材を使っていても、自分で音読しながら問題を解きたい人と、教師に読んでもらってじっくり考えたい人では、順番や方法が違います。毎回予定を確認して授業を行っていますが、ときどき混乱してしまい、学習者に申し訳なく感じます。

 

Q.どんな働き方が自分らしいと思いますか。

自分主体の働き方です。私にとって大事なものを3つ選ぶなら、「家族との時間」「余暇」「好きな人と好きな仕事をする」だったので、生徒と仕事時間、内容を選べるように自分で事業を始めました。Podcastなどのテーマは、ただ流行っているからではなく自分が好きになったことを配信したいと思っているので、本を読んだりアニメを見たりする時間も大切です。

 

私の場合は極端ですが、例えば、今働いている職場でも、少しずつわがままを言って、自分にとって働きやすい環境に整えていったらいいのではないかと思います。あれこれ言われるまま引き受けるのではなく、10回に1回ぐらいは嫌な仕事を断るとか、「こういうレベルがいい」とリクエストしてみるとか、言うだけならタダなので主体的に動いて、ダメなら引っ込めてまたのチャンスを狙えばいいと思っています。

 

Q.これからの日本語教育についてどのようにお考えですか。

私がやっていることは、どちらかと言うと全体から外れてしまった人(レベルに合う教材やクラスがない、興味がある日本語だけ教えてほしい)対象で、日本語教育の未来を語れるほどこの業界のことを把握していないので、逆にこっちが教えてほしいぐらいです(笑)。

 

ただ、今後こういう個人化したレッスンは増えていくような予感がします。日本語学校で勤務しているときから、ロックバンドの歌詞やマンガのセリフについて教えてほしいという学習者がいましたが、最近ではSNSを通じて、自分の興味や細かい職種に沿って日本語のニーズが特に個別化していると感じます。

 

Q.学生さんとの思い出で何か印象深いものはありますか。

22年教えているのでいろいろありますが、あえて悪い方の思い出を話したいと思います。授業中に「先生の説明はわからない」とほぼ全員から抗議を受けたり、学生アンケートに「次は他の先生がいい」と書かれたりしたことがあります。嫌なアンケート結果をもらうと学生と接するのが怖くなり、どんどんガードが固くなって本音も言えなくなり、悪循環に陥ってしまいました。その時はただ焦るばかりで落ち込んで、授業見学もたくさんしましたが、答えは分からないままでした。

 

学習者との思い出

 

Q.学生アンケートのトラウマや焦りから、どのように立ち直られたのでしょうか。

完全に立ち直るのにはずいぶん時間がかかりました。いろいろな人に相談したり、プライベートでコーチングを受けたり、自己啓発本を買ってみたりしました。最終的には「自己肯定感」に辿り着きました。プラスもマイナスもありのままの自分を受け入れて冷静に判断できる精神状態が身に付くと、仕事で大変なことがあっても、あまり動揺せずに対処ができるようになりました。余計なプライドや自己嫌悪がなくなって、気持ちが楽になったし、肩の力が抜けました。

 

Q.尊敬する日本語教師はいらっしゃいますか。

九段日本語学院の吉田理絵先生です。私が西東京国際学院で専任をしていたときの非常勤の先生です。文法の説明が的確なうえ、絵や図など使って視覚的にも分かりやすく工夫していらっしゃって、感動しました。以降、文法の説明に自信がないときや、学生からのアンケートに傷ついた時などいろいろ相談に乗ってもらっています。面倒見がよくて、学生からも慕われています。非常勤の先生には珍しいと思うのですが、いつの間にか事務のスタッフや他のセクションの先生方の名前も覚えて仲良くなってしまう方です。コミュニケーション能力の高さも見習いたいです。

 

Q.日本語教師という職業の魅力はどんなところだと思いますか。

まず、普段会えないような人に会えることです。これまで、日本語学校やプライベートレッスンを通じて、俳優、声優、お姫様(テーマパークのキャスト)、会社経営者、外交官、アスリート、宣教師などに会いました。そういう人からいろいろなお話が聞けるのは役得だと思いますし、勉強や刺激にもなります。

 

次に、理解が難しい言葉や文法の例文を集めて分析して、学習者に教える作業は、自分にとっても勉強になるので嬉しいですし、学習者が理解してくれるとよかったなと思います。やればやるほど、言葉の核に気づいたり、日本語の奥深さに触れたり、発見が多いです。

 

Q.座右の銘を教えていただけますか。

あえて挙げるなら「Don’t think, Feel it.」です。いろいろな啓発本に「考えると大体マイナスにいく」と書いてあって、自分の経験則からもその通りだと思いました。いいと思ったことやワクワクすることは、まずやってみようと思います。

 

Q.最後に、ご自身の日本語教師としての強みはどんなところでしょうか。

周りから褒められるのは行動力や企画力です。最近はファシリテーション能力も褒められました。座右の銘のように、おもしろいと思ったことはやってみるという、フットワークの軽さがあると思います。

 

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マガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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