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教師インタビュー

byマガジン編集部 マガジン編集部

尾﨑涼子さん(bun.style株式会社)

日本語教師としての「私の流儀」
bun.style株式会社で日本語教師をしていらっしゃいます「尾﨑涼子」さんにお話を伺いました。

【尾﨑涼子女史のプロフィール】

大学時代には国際関係学を専攻。国際交流に興味を持ち、NGOでのボランティア活動や、留学生のサポート活動に積極的に参加。数々の経験の中で、自国の言葉や文化を正しく伝えたいという思いが芽生え、日本語教師を意識するようになる。

一般企業での勤務を経て、2019年からは、日本語教育サロンとして、本サイトの制作や日本語のレッスンの提供、外国籍の方の転職サポート等を行うbun.style株式会社にて、日本語教師と事務職を兼任。

現在は同社にて日本語の授業の他に、教材作成、翻訳、記事の執筆など、幅広く担当している。

420時間の日本語教師養成講座を修了。

日本語教育能力試験合格。

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

日本語教師を目指したのは、大学在学時の2つの出来事が大きく影響しました。

まずひとつめですが、もともと「外国語をツールに日本と世界のために何かしたい」という思いがあり、大学では国際関係学を専攻しており、直接的な世界との接点を求めてNGOにも所属し、合宿型のボランティア活動を行っていました。

 

ドイツのプログラムに参加した約15人のメンバーのうち、私が唯一の日本人でした。メンバーが日本語や日本文化についてたくさん質問してくれたのですが、なかなかうまく答えられず、悔しくもどかしい思いをしました。

 

国際交流を行う上で、自国の言葉や文化について正しい知識を身に付けることの重要性を痛感し、正しく明快に説明できるようになりたいと思いました。

 

ふたつめは、大学で留学生のサポート係をした際に起きた出来事です。

多くの留学生をサポートさせていただいたのですが、なかなか日本の生活に馴染めず途中で帰国してしまったり、N1・N2の実力を持っていても携帯電話や銀行口座等の手続きに苦労していたりする姿を見てきました。

 

日本が好きで来日してくださった留学生たちが、文化の相互理解や言語力不足が原因で悲しい経験をすることを無くしたい、という思いが強くなっていきました。

この2つの出来事がきっかけで、わたしは日本語教師として、生活や仕事の地として日本を選んでくださった方々に対して、精一杯のサポートができたらと思い、日本語教師を目指すようになりました。

 

※NGO (エヌ・ジー・オー)とは

「Non-governmental Organization」の略称で、もともとは国連などの国際会議で、各国政府や国際機関とは異なる「非政府(民間)団体」を指す名称として使われていた。現在は、地球規模の国際問題である、貧困や飢餓、環境などに対して、国家や民族、宗教の壁を越えた非政府(民間)の立場から、利益活動を目的としない団体のことを指している。

Q.語学としての日本語を教えるだけでなく、日本文化の伝達や国際交流も目的とされているような印象を受けたのですが、日本語教師としてのこだわりをお持ちでしょうか。

私が勤めているbun.style株式会社では「明日職場や生活で使える日本語」を教えることをモットーにしています。文化の伝達や国際交流は、大げさなことではなく、職場や生活の場で実現できることなので、このモットーをとても大切にしています。

 

日本語を学びたいと思っていらっしゃる職場や生活環境は人それぞれです。

ですので、学習者ひとりひとりのレベルや目標に合ったカリキュラムを作成できるよう、あえて決まった教科書を使いません。さまざまな教科書の内容を確認し、その都度授業に使えそうな箇所をピックアップして使っています。

 

さらに、学習者がノートを取ることに集中してしまい授業を聴くことがおそろかになってしまわないよう、授業ごとにパワーポイントを作成し、写真を撮って記録できるようにしています。

 

また、わたし自身は英語が話せますので、必要に応じて英語を使用し、正しく伝わることを第一優先に考えるようにしています。

Q.今はどのような方を教えていらっしゃるのでしょうか。

現在の勤務先は好きな形態で好きな時間帯に勉強できる語学サロンなので、学習者は社会人の方が多いです。そのために授業の多くはオンラインで行われています。

 

レベルはゼロレベルから初級レベルの方がほとんどで、日常会話ができるようになることやJLPTに挑戦することを目標にされています。

Q.あえて決まった教材は使わないとのことですが、どのような教材を使用されているのでしょうか。

例えば初級レベルの方には、関連する単語をまとめて勉強できるように「ファッション」「ペット」「部屋・家具」「オフィス」など、テーマ別のオリジナルプリントを作成しています。日本語の勉強を通じて日本の文化も理解してもらえるように、日本の観光スポットや年中行事などのプリントも製作中です。

Q.尊敬している日本語教師の方はいらっしゃいますか。

弊社代表の増田文さんです。

ひとつの教材や限られた学習環境でも、工夫次第でさまざまな練習方法ができるということを教えていただきました。

 

私は養成講座のときに模擬授業用の教材をたくさん用意しすぎて、担当の先生に「実際に教師になってからそんなに用意していたら倒れる」とアドバイスをもらったことがあったのですが、どうすれば教材を減らせるのか、実際の授業のイメージがつかずに解決方法が見つけられずにいました。

増田さんと一緒に働くようになり、何通りも活用方法のある教材の作り方や授業の組み立て方を学ぶことができました。

 

決まった教材を使わないで行うスタイルは、効率よく授業の準備をすることが出来なければ実現できないのですが、自分らしいスタイルで授業ができるようになったのは、増田さんのおかげです。

 

Q.まさに理想の日本語教師を目指して日々奮闘中という印象を受けるのですが、自分らしさを感じるのはどのような時ですか。

ゼロレベルや初級レベルの方に教えることが多いのですが、その方たちから「日本語を学ぶことに抵抗があったけれど、授業を受けて自信がついた」とか、「新しい言語を学ぶことへの不安がなくなった」という言葉をもらったときは本当に嬉しかったです。

また、「職場で実際に同僚に日本語で話しかけてみた」「電車のアナウンスで数字が聞き取れるようになった」という報告を受けたとき、授業で教えたことが実生活に結びついていることを実感することができました。

 

まだ経験が浅いので、どんな教え方が自分に合っているのか、自分の持ち味は何なのか、模索している状況ですが、このような反応をいただけると、ただ単に「日本語が上手になった」ということではなく、「生活の場で役立ったこと」や「コミュニケーションがとれた」ことへの喜びを報告をしてもらえているので、自分らしい日本語教師になれているのではないかという実感が沸きます。

 

これからも、決まったやり方や教科書で教えるというよりは、クラスでもプライベートでも、対面でもオンラインでも、初級でも上級でも、いろいろな教え方に挑戦して、その中から自分らしい教え方を見つけられたらと思っています。

Q.苦労していることはあるのでしょうか。

プライベートレッスンや少人数のクラスレッスンでは、会話練習がどうしてもマンネリ化してしまいます。いつも決まった教師やクラスメイトと勉強していると、学習者が多様な日本語を聞く機会が減ってしまいます。

 

それでは実践的な力を身に着けることができませんので、音声教材やシャドーイングの教科書を活用することで解決できたらと思っています。

Q.学生との思い出で強く印象に残っていることはありますか。

日本語教師になって最初に担当したクラスの生徒たちのことが印象に残っています。

転職をめざすエンジニアの方たちのクラスだったのですが、みなさんお仕事の後に勉強に来るので、遅い時間帯のクラスは授業が終わるのが23時過ぎのときもありました。

それでも、誰ひとり疲れた素振りを見せず、いつもクラスが盛り上がっていました。

 

ゼロレベルのクラスだったので、お互いに日本語学習者と日本語教師の1年生として、励まし合いながら勉強することができました。

 

学習者との思い出の一枚

Q.今後、どのような日本語教師になりたいですか。

語学力と学生時代の国際交流経験を生かして、日本語の学習だけではなく生活や仕事の悩みや疑問にも答えられる日本語教師になりたいと思っています。

 

学生が初心者の場合、日本語では伝えられないようなことも、英語を通じてやり取りできるので、学習者との距離が縮まります。

学習者のみなさんがいろいろ相談してくださったり、フレンドリーだと言ってくださったりするので、学習者にとって話しやすい教師であるという強みを活かしていきたいと感じています。

 

具体的には、「言語をツールに何をするか」ということを大切にしていきたいと思います。

学習者のみなさんの目的は、日本語や日本文化を学ぶことではなく、その先の仕事や進学、趣味や交流です。

日本語のレベルを上げて仕事の幅を広げたい方、友人と日本語でコミュニケーションを取りたい方、将来日本へ留学・就職したい方など、様々な学習者の方がいらっしゃいます。

みなさんそれぞれが持っている夢を叶えるための身近なサポーターとして、責任を持って日本語を教えていきたいです。

 

さらに個人的な大きな目標としては、初級レベルの方にも分かりやすいビジネス敬語の授業を作りたいです。

 

基本的な文法や語彙を身に着ける前であっても、ビジネス用の日本語を覚える必要があったり、使えるようになれたら仕事の幅が広がったりする、という話をよく聴きます。

従って、早期の学習段階であっても、ビジネス用の日本語を学ぶ敷居を低くできたらと思っています。

 

私は日本語教師になる前は一般企業に勤めていたので、そこで学んだメール作成方法や電話対応、上司や同僚とのコミュニケーション、日本の企業文化など、実体験を交えながら教えていきたいです。

Q.座右の銘を教えていただけますか。

学生の頃から「点滴穿石」を座右の銘にしています。

要領よくこなせるタイプではないので、何事も計画を立てて地道に取り組むように心掛けています。

Q.これからの日本語教育について、どのようにお考えですか。

新型コロナウイルスの感染拡大により以前のように出入国ができなかったり、日本語教師の国家資格化の話があったり、日本語教育業界には今、大きな変化が訪れるていると感じています。

 

今後は、日本語の学習者を増やすというよりは、すでに日本語を使って勉強や仕事をしている方々それぞれのニーズに応えることがメインになってくるのではないかと思います。

また、その手法も、対面型からオンラインが主流になるでしょう。

 

Q.最後に、尾﨑さんにとっての日本語教師の魅力を教えてください。

仕事は毎日のことなので、こなすこと自体に必死になってルーティーン化したり向上心を忘れてしまったりすることもあると思いますが、日本語教師の仕事は毎日が新鮮で学びの連続です。

学習者の反応や成績が自分自身へのフィードバックとして返ってくるのがとてもありがたくてやりがいにもつながっています。

 

これからも長く続けていきたいと思える大好きな仕事です。

 

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マガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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