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教師インタビュー

by日本語教師スタイルマガジン編集部 日本語教師スタイルマガジン編集部

真部明さん(アイリス ジャパニーズ ランゲージ スクール)

日本語教師としての「私の流儀」

名古屋の日本語学校で留学生に指導されている真部明先生にお話を伺いました。

真部明氏のプロフィール】 2014年から日本語教師としてのキャリアをスタートし、現在8年目。 国際協力機構(JICA)のブースを訪れた際に協力隊のチラシを見たことで、自身の夢を思い出し、日本語教師への転職を決意。2013年に養成講座を修了し、翌年2014年に、「日本村」で求人を見つけたベトナム・ハノイの日本語学校へ就職。エンジニアを目指す学生に日本語を指導。また、現地の大学へ出向いて出張授業も行った。2015年に日本へ帰国し、日本語学校で2年間勤務。その後、2017年~2019年にもハノイの同じ日本語学校で勤務。 現在は名古屋の日本語学校・アイリス ジャパニーズ ランゲージ スクールで留学生を指導している。 2017年からは、オンラインツールを活用して、中国人の学生に上級レベルの日本語やビジネス日本語の指導も行っている。 趣味はスキーやキャンプなどのアウトドアとギター。日本語の歌の練習を取り入れるなど、ギターのスキルは授業でも大活躍している。 420時間の日本語教師養成講座を修了。

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

昔から青年海外協力隊に興味があり、ずっと外国で暮らしてみたいと思っていました。ただ、以前は郵便局で働いていたのですが、そこでの仕事にもおもしろいものがありましたし、結婚や子供など家庭のこともあって忙しくなったため、次第に自分の夢を忘れていきました。 家の近くにあったJICAのブースによく遊びに行っていたのですが、そこでチラシを見て初めて、当時の自分の年齢だともう青年隊には応募できず、シニアボランティアになるということに気付きました。

 

転職するチャンスというのは、年齢が遅くなればなるほど少なくなってしまうと思うので、自分のやりたいことに挑戦するなら今しかないと判断し、養成講座に申し込みました。JICAのブースに行ったことが、自分の夢を思い出させてくれて、日本語教師を目指す最後のきっかけとなりました。

Q.日本語教師としてのこだわりはありますか。

こだわりというか、注意していることになるのですが、学生に対して「上から目線」にならないことです。例えば、もうすぐJLPTがありますが、「あの子は絶対N3に受かるはずがない」など、教師が学生の力を勝手に判断してしまうようなことは絶対に言わないようにしています。

 

教師も学生から学ぶことはたくさんあるので、常に同じような目線で接するようにしています。

Q.現在は日本語学校で勤務され、オンラインでも中国の方に教えられているとのことですが、学生のレベルや授業の内容など、詳しく教えていただけますか。

今の学校は、ベトナム人が95%くらいで、フィリピンとネパールの学生が数名ずついます。教えている学生の半分くらいは、今度の7月にN3を受験する中級レベルです。現在はJLPT対策に集中しているのですが、それが終わったら、会話の授業、進学に向けた面接やマナーの指導なども行います。

 

中国のオンラインの会社に登録しています。学生が教師のスケジュールを見て好きな教師を選び、授業を受けるという形です。1週間に2~3回の頻度で教えています。中国人の学生の学習動機は、「ビジネス会話が勉強したい」「日本語通訳をめざす」「N1合格でも150点以上が必要」など、かなりレベルが高く、学習内容も超級レベルと言えると思います。基本的には決まった学生と授業を行うことが多いですが、中には初めて会う学生もいます。

 

学習者との思い出

Q.日本語学校ではJLPTや進学まで、幅広く指導されていらっしゃいますが、どんな教材を使用されていますか。

JLPTの対策では、『TRY!』や『新完全マスター』といった対策シリーズが中心です。それ以外の授業では、『中級を学ぼう』『中級へ行こう』『できる日本語』などをメインテキストとして使っています。これらの教科書をそのまま使うことはできませんので、PowerPointで内容を抽出したり編集したりして使っています。

Q.尊敬している日本語教師の方はいらっしゃいますか。

日本語学校には新卒の先生から長年の経験がある先生まで様々な方がいますし、それぞれやり方や性格なども違うので、多様な意見を尊重できる日本語教師が理想です。ある程度日本語教育業界に慣れてくると、常識になっていて気付かない点が出てきますが、新しく入ってきた先生には、それが当たり前ではないと気付かせてもらうことがあります。

 

例えば、学生が銀行に行くときに一緒に行ってあげるなど、ついついやってしまうことが多くなりますが、新人の先生と意見交換する中で、すべてやってあげることが学生のためになるとは限らないのだと気付けたことがあります。

 

今後何十年と経験を積んだとしても、若い先生のいいところは真似ていきたいですし、尊重していきたいと思います。   また、学生の将来の生活の豊かさまで考えられる教師は、いい教師だと思います。

 

日本語学校の場合、学生の進路を必ず決めなければならないため、「この学校だったら受かるからそこに入れましょう」「推薦だったら受かると思いますから推薦を出しましょう」といったように、どうしても進学先を決めることが優先になり、安易な考えに陥ってしまいます。しかし、それでは学生の将来に繋がらないので、きちんと学生の苦労や生活まで考えられる教師になりたいと思っています。

Q.どんな働き方が自分らしいと思いますか。

仕事の時間と自分の時間をきっちり分けた働き方です。仕事の時間にはしっかりと働いて、週末やオフの時間は、読書や映画、旅行など自分を高めるために使いたいです。前職の郵便局にも現在の日本語教師にも共通することなのですが、ずっと同じ業界の中にいて付き合いが限られてしまうと、その業界の方とはうまく話せても他の分野の方と話ができなくなってしまいます。

 

幅広い知識を身に付けたり、自分を高めたりするためにも、オフの時間は自分のために使いたいです。今後もONとOFFをはっきり分けるような働き方ができたらと思います。

Q.これまでベトナムでも日本でも多くの学生を教えられてきたと思うのですが、印象的なエピソードはありますか。

学生との思い出はいろいろあるのですが、授業でAKB48の「365日の紙飛行機」という歌を歌い、最後にビデオ撮影をしたことです。みんなで紙飛行機を作って飛ばしたのですが、そのときはとても盛り上がりました。最初はひらがなを練習するために使っていただけで、学生の読み方もたどたどしかったのですが、最後はすらすらと上手に歌えるようになって、私も嬉しかったです。

Q.日本語教師として働くうえでの喜びを感じるのはどのような時ですか。

例えば、学生がJLPTで合格したり、それぞれの国の料理を作ってきてくれたり、普段の些細なことに喜びはたくさんありますが、卒業後も繋がりがあることが特に嬉しいです。

 

今ではSNSを使ってベトナムからでも中国からでも連絡が取れるので、「自分で日本語学校を開きました」「結婚式に来てください」など、何かの折に報告をくれるのがとても嬉しく感じます。

 

もう一つ繋がりを感じたことは、偶然ベトナムで教えていた学生と再会したことです。今私が働いている学校では、ある日本企業で日本語研修を行っているのですが、実は2017年にハノイで教えた学生がその企業に就職していました。ある研修の日にSkypeを開いたら、画面の向こうに出てきたのが知っている顔でびっくりしました。

 

事前に学生の名前は知っていましたが、ベトナムには同姓同名がとても多いため、まさかその子だとは思いませんでした。2年前に教えていた学生が、また今私の学生になって、一緒にお酒を飲みに行くこともあり、とても縁を感じています

Q.ベトナムでの教師生活がとても思い出深いものだとお見受けするのですが、ベトナムで学んだことはありますか。

学生から生活の楽しみ方を学びました。ベトナム人はお金を使わずにシンプルなところで楽しむことができる方が多いです。先ほどの「365日の紙飛行機」の話でもそうなのですが、ギターを弾いて歌うだけでもすごく盛り上がりました。

 

日本だとパソコンやテレビなど便利なものがいろいろ普及していて、それを活用して楽しんでいる人がほとんどだと思うのですが、ベトナムでは、そういったものがなくても、歌を歌ったり走ったりといった単純なことで生活を楽しむという基本に立ち返ることができました。

Q.苦労されていることはありますか。

文化の違いを教えるのに時間がかかったり、なかなか理解してもらえなかったりする点です。例えば、日本は遅刻やカンニングに対して厳しいですが、海外ではそこまで厳しく注意されることではありません。日本人の考え方がすべていいというわけではありませんが、日本に住んでいる以上は、日本の習慣や規則を守らなければならないので、きちんと教える必要があります。

 

また、これから進路指導の時期になりますが、なかなか進路を決めることができない学生がいます。最初は「車を勉強したい」「ホテルで日本のサービスを学びたい」など、個々の目標や夢があるのですが、試験の直前になると「友達がその学校に行くから私も一緒に行きたい」と、コロッと変わってしまうことがあります。私たち教師としては、その学生の将来に繋がるようなことを勉強してもらいたいのですが、仲間意識や目先の不安にとらわれて進路を決めてしまう学生もいるので、その際の指導が難しいと感じています。

Q.今後、どのような日本語教師になりたいですか。

学生の生活が豊かになることがいちばんだと思っているので、学生の将来に活きるような教育をしたいです。JLPTのN2を取ることができれば、いろいろな企業や職業を選ぶことができ、結果として経済的にも豊かになりますが、N4ではほとんど選択の余地がありません。

 

その学生の本当にやりたいことを聞き出して、その道に進めてあげるために必要な指導ができたらと思います。

Q.座右の銘を教えていただけますか。

一事が万時」という言葉です。例えば、整理整頓ができていなければ頭の中も整理整頓できず、結局は勉強もできないということに繋がると思います。

 

日本人に対しても学生に対しても同じで、人間性がその人の仕事や勉強に対する態度にも繋がると思います。この考え方を大切にしていますし、私自身も忘れないようにしています。

Q.これからの日本語教育について、どのようにお考えですか。

日本政府や入国管理局も含め、今後留学生は減っていくという考えだと思います。留学生として来たとしても専門学校や大学へは行かずに、就職志向になる学生が多くなると思います。日本語にしても、コミュニケーションのための日本語、仕事ための日本語、介護のための日本語、エンジニアのための日本語といったような専門的なものが多くなり、高度人材のための進学・就職というのが圧倒的に増えてくるのではないでしょうか。

 

特に今は特定技能など新しい制度もできていますので、仕事のための日本語が必要になってくるのではと思っています。

Q.ご自身の日本語教師としての強みはどんなところでしょうか。

教師の仕事とは直接関係ないかもしれませんが、私が疑問に思うことはおそらく他の人も疑問に思っているという点です。疑問に思っているけれど、同僚や上司に遠慮したり自分の知識不足などから自信をなくしたりして、言い出せないということが誰にでもあると思います。

それに気付いて指摘できる点は、自分に自信が持てるところです。

 

また、ギターが大好きなので、それを使って学生とコミュニケーションを取れることも強みだと思います。ギターは20代の頃から少しずつ独学で練習してきたのですが、日本語教師になって、まさかギターがここまで役立つとは思いませんでした。私が学生の国の曲を弾いて学生が歌うことができれば、たとえ言葉や意味が分からなくても、交流を楽しむことができます。

コミュニケーションツールのひとつとしてかなり役立っています。

Q.最後に、真部先生にとっての日本語教師の魅力を教えてください。

自分の努力が結果に繋がることだと思います。学生を見れば、私の教え方の良し悪しが分かりますし、学生の様子から自分の評価が見て取れます。 また、卒業してからもずっと付き合いが続くことも大きな魅力だと思います。学校にいる期間だけでなく、学生との繋がりや関係性はその後も続きます。

そして、海外で日本語教師をする場合は、多様な文化を実際に体験しながら働くことができるというもの魅力です。

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日本語教師スタイルマガジン編集部

日本語教師スタイルマガジン編集部

この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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