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教師インタビュー

byマガジン編集部 マガジン編集部

西村佳代さん(日本語教師×コーチ)

日本語教師としての「私の流儀」

日本語教師兼コーチとして活躍されている「西村佳代」さんにお話を伺いました。

【西村佳代女史のプロフィール】

元々は金融業界で働いていたが、自分が集中して楽しく取り組める仕事、海外でも働くことができる仕事という観点から、日本語教師に興味を持つ。

2017年の4月に日本語教師養成講座を修了し、日本語学校で非常勤講師として勤務。

現在は日本語学校からの仕事も受けつつ、自分自身でも独立して専門学校と契約を結んでいる。

日本語学習者にビジネス日本語やコミュニケーションについても伝えたいという思いから、ビジネスマナー講師の資格も取得。普段の日本語の授業にもビジネス日本語を取り入れている。

また、コーチングの資格を取得し、プロのコーチとしても活躍中。企業向けの外国人労働者との関わり方指導や日本語教師向けのコーチングセミナーを開催している。

https://www.m-j-sprt.com/

420時間の日本語教師養成講座を修了。

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

元々教育業界とは畑違いの業界出身で、大学時代は法律を専攻し、卒業後は約12年間金融機関で仕事をしていました。その中で、仕事に集中できず、楽しいと思いながら仕事ができていない自分に気が付きました。それなりに仕事はこなせるのですが、ワクワクしないという感じがありました。そこで、元々旅行などで海外が好きだったので、海外でも働ける仕事はないかと思って、日本語教師をめざすことにしました。

 

海外に行くと、客観的に日本のことを知ることができます。また、自分が意外と日本のことを知らないということにも気付かされます。「日本語を教えてください」と言われたときに、細かな違いなどを聞かれても、教えることができないことにびっくりしました。日本語教師をめざすことになった新たな気付きであり、きっかけでした

 

Q.コーチングの資格をお持ちということですが、何かご自身でサイトや会社を立ち上げて行われているのでしょうか。

今年ホームページを開設し、クライアントと契約を結び、コーチとして活動し始めました。就労外国人の方とお話ししてみると、事業者の方との関係についての話題も多いので、その中にコーチングを取り入れて、企業の方にはいろいろな視点から外国の方たちと関わっていただけたらと思っています。要望があれば、「やさしい日本語」や「コーチングサービス」を事業者の方々向けにも提供しています。

 

今回初めて、現場の日本語教師の方々に対してもサービスの提供を開始しました。Facebookにコーチングセミナーの告知を出しました。もちろんコーチングについて知らない方もたくさんいらっしゃると思うので、興味を持っていただくきっかけ作りができればと思っています。コーチングに関しては、自分で今取れる行動から始めようと思い、まだ踏み出したばかりです。

 

※コーチングとは

対話を重ねるコミュニケーションを通じて、コーチングを受ける対象者が目標達成に必要なスキル・知識・考え方を備え、行動することを支援し、成果を出させるプロセスのこと。コーチングをする人(コーチ)はコーチングを受ける人(クライアント)に、アドバイス・強制するのではなく、「問いかけて聞く」対話により、相手が主体性を持ちながら目標や夢を実現できるように導きます。組織ではチームビルディングや人材育成、プライベートではコミュニケーション能力の向上などに活かされます。

 

Q.ビジネスマナー講師やコーチングの資格は、どのような方法で取得することができるのでしょうか。

それぞれ研修を開催しているところで研修を受け、そこでの認定試験をクリアすると資格を取ることができます。私の場合は、日本サービスマナー協会というところで勉強させていただき、ビジネスマナー講師の資格を取りました。コーチングに関しては、コーチ・エィという、日本に初めてコーチングを持ち込んだところで勉強させていただいて、資格を取りました。

 

Q.現在、どのような生徒さんに日本語を教えていらっしゃいますか。

専門学校では、スリランカ、ネパール、ベトナムからの留学生に、JLPTのN2レベルの日本語を教えています。併せてビジネス日本語やビジネスマナーも教えています。また、フィリピン、ベトナムからの実習生に対して、JLPTに加え、日本の習慣や地域の方たちとのコミュニケーションの取り方を教えています。そして、非常勤として勤務している日本語学校では、今は留学生の入学が止まってしまっているので、実習生に対して、週に1回くらいのペースでオンライン授業をしています。いずれの授業も、学習者は2~7人くらいで、その都度参加者の数に幅があります。

 

学習者との思い出

 

Q.どのような教材を使って指導されているのでしょうか。

よく使っている教材は、やはりビジネス系のものが多く、『ビジネスのための日本語』や『伝わる発音が身につく!にほんご話し方トレーニング』、『日常会話力がグーンとアップする「雑談指導」のススメ』です。

 

日本語学校では指定があり、JLPT指導用に『学ぼう!にほんご』や『まるごと』、『いろどり』を使用しています。指定された範囲について、学習者の理解度をきちんとチェックできて早く終わった場合は、すきま時間を利用し、ビジネス日本語の内容も扱うようにしています。ビジネス日本語で悩んでいる学習者が意外と多いので、ビジネス系の教科書も積極的に紹介しています。

 

Q.日本語教師としてこだわっていることはありますか。

「楽しくあること」を大切にしています。それを大事な芯として据えたときに、学習者たちにもそれが伝わると思いますし、そこから学習に対するいい効果も広がっていくと感じています。まさに「楽しさ」というところに尽きると思います。

 

Q.日本語教師としての武勇伝はありますか。

ベトナムの学習者の前で、ベトナムの曲を1曲覚えて披露したことです。若い学習者が多かったので、現地で人気のある歌手の曲を歌いました。ひたすらその曲を聴いたり、歌詞を打ち出して、休み時間などにベトナムの方に発音を教えてもらったりして練習しました。車の中でもたくさん歌いました。披露したとき、学習者はとても驚いていました。「ベトナム語で挨拶くらいはするかと思っていたけれど、まさか歌を歌うなんて!」といった反応でした。

 

また、日本語訳にしたときに、とても内容がきれいだったので、それを元にコミュニケーションを広げるきっかけにもなりました。

 

Q.日本語教師として働くうえでの喜びはどんなことがありますか。

それぞれの学生が「自分の目標達成のためには何が必要か」ということを考え始めた様子が見えるときが喜びです。例えば、ホテルに就職したいという学生であれば、「JLPT以外にもマナーの知識が絶対必要になりますよね。そのときにどうやってマナーを勉強すればいいですか?」「どういう資格を取ったら就職に有利になりますか?」といったことを自分から考えて言い出すという姿勢を見たときです。やはり社会に出ると厳しい面もあると思うので、その中で生きていくための力がついてきたのだと、嬉しく感じます。

 

Q.逆に、苦労はどんなことがありますか。

人数が多くなってくると、個別にしっかり時間を割いてあげられないことです。これまで最大で27人くらいのクラスを担当したことがあるのですが、それくらいの規模になると、一人一人を見るのが難しいと感じます。じっくり観察をしないと、フィードバックや効果的な声掛けもなかなか難しいです。何か見落としているのではないかと感じることが多くなります。

 

Q.尊敬できる日本語教師はいらっしゃいますか

フリーランスの日本語教師として活躍されている小山暁子先生です。本当に尊敬できて、モデルとなる先生だと思っています。

 

 

Q.これからの日本語教育について、業界的な展望とご自身の目標の2点を聞かせていただけますか。

自分の経験を元に業界の展望について考えてみました。私は専門分野として日本語教師の世界に入ったわけではなかったので、同僚の先生方や学習者とのコミュニケーションの取り方、教育に対する知識など、足りない部分がありました。しかし、その足りない部分は、学びを進めることで豊かにしていくことができると思っています。今、大学院での研修などを積極的に受けているのですが、その中で、アカデミックな世界と現場との乖離、先生方のメンタル部分のフォロー、企業でよく言われている「働き方改革」、学習者に対する多様性や価値観などといったテーマについて学んできました。これらのことに柔軟に対応できるスキルが必要とされていると強く感じています。これから日本語教師業界や教育の世界でも、そのようなテーマに関する講師の方々がたくさん出てくる流れが生じてくるのではないかと思っています。

 

私自身もその流れに対して何かお役に立てないかと思い、コミュニケーションに関する勉強を進めてきまして、専門的な資格を取得しました。自分が持つ知識やスキルを積極的にお伝えしていけるようになりたいと思っています。自分が取った行動でどう変わったか、それによって学習者もどう変わったかということを発信できるような日本語教師になっていきたいです。

 

Q.どんな働き方が自分らしいと思いますか。

大切にしていることとリンクするのですが、楽しく働き、自分自身もワクワクすること、そしてチャレンジすることです。

Q.日本語教師という仕事を通じて学んだことはありますか。

教師のあり方自体が、どんな形であれ学習者に大きく影響するということを学びました。学習者に一方的に「頑張りなさい」と言うのではなく、教師自身が頑張った経験を話すことで、学習者自身も具体的な気付きや目標ができて、考え方や行動が変わります。今までは毎回居眠りしていたのに、きちんと授業を聞いて質問するようになるなど、次の授業から些細な変化が表れます。

 

Q.学生との思い出で強く印象に残っていることはありますか。

いちばん態度が悪かった学生が、卒業式の日に「先生が言っていた言葉の意味がわかりました」と言って、笑顔で卒業していったことです。授業中の居眠りや携帯、宿題をしてこない、JLPTに2度落ちるという態度の学生でした。彼が勉強することに何の意味があるのか、何が彼をそういった態度にさせているのかを考え続け、「今頑張ることやJLPTに受かることは通過点にすぎない」という話をしました。その結果、目の前の宿題やJLPTが目標なのではなく、その先が大事だと気付いてもらうことができました。最後にはちゃんと進路が決まって笑顔で卒業していったので、とても嬉しく感じました。

 

Q.座右の銘を教えていただけますか。

思考に気を付けなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気を付けなさい、それはいつか行動になるから。行動に気を付けなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気を付けなさい、それはいつか性格になるから。性格に気を付けなさい、それはいつか運命になるから」というマザー・テレサの言葉です。コーチングにはファシリテーションのスキルも包含されているのですが、協働学習の場をうまく回したり、学習者に対応したりするということについて学んでいるときに出会った言葉です。

 

Q.日本語教師としてのご自身の強みはどんなところでしょうか。

コミュニケーションについて深く学んだということと、そこを起点に日本語を伝えられるというところが強みだと思っています。

 

Q.最後に、日本語教師という仕事の魅力を教えてください。

自分が生まれてからずっと使ってきている言葉を伝えることで、学習者の人生に関わることができる点だと思います。

 

 

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マガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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