学校の1年間のスケジュール

みなさんこんにちは。日本語学校の1年間にどんなイメージをもっていますか?日本の小学校~高校までと似ているのかなと思っている人もいると思います。今回は、日本国内のある日本語学校と、アジアのある日本語学校の1年間のスケジュールを見ていきます。意外なイベントが組み込まれていることもありますので、実際の学習者目線の感想も一部お届けします。

目次

基本的な一年間のスケジュール

学校により、まちまちですがざっくりと初級クラスを例に見ていきましょう。 入校できるタイミングは、1月、4月、7月、10月の年4回あります。つまり、1学期は約3ヶ月間で、その中で指定のテキストを使って4技能(読む・書く・聞く・話す)の力を培っていきます 初級クラスのある1週間のスケジュールを簡単にご紹介します。月曜日はホームルーム、テスト、文法の授業を行います。火曜日~金曜日はテキスト+語彙or読解or聴解or時事といった学習プランになっています。火曜日~金曜日に学んだことを土日で復習して、週明け月曜日に確認テストという流れです。ホームルームは、休みの日にどのように過ごしていたかなど、フリートークのような形で日本語を使って話す時間です。教師がバランスよく学生に話を振る力も試されます。 それぞれのクラスで、「その学期が終わると何ができるようになるか」という到達目標が設定されています。例えば、初級クラスでは「ひらがな・カタカナの読み書きができる/日本人の簡単な会話を理解できる」などです。 ちなみに、入校の際に出願が必要な学校もあります。その出願資格として、N5以上の日本語能力を持っていることなど、学校によって条件がある場合もあります。

1年間の最低授業時間について

一般的な日本語学校の場合、年間最低38週間の授業が提供されています学校でしっかり勉強したいという人は、授業数が多めの学校を選ぶことができます。逆に、アルバイトなどで勉強した日本語をアウトプットしたい人は、最低数の学校を選んで、プライベートを充実させる場合もあるでしょう。 一方、進学クラスは受験時期の調整などのため、入校可能な時期は年に2回くらいに設定されている場合が多いようです。到達目標は、もちろん進学を希望しているので、日本の大学や専門学校受験に必要なJLPT(日本語能力検定試験)N2~N3レベルの日本語能力を身につけることです。具体的には、JLPTやEJU(日本留学試験)対策も含まれます。N1やN2などが出願条件になっている大学があるため、試験対策もしっかり行います。

試験に向けて

JLPTやEJUの対策授業についてです。6月や12月の試験前になると、集中講座を設ける学校もあります。普通の授業とは別に、希望者を募って開講されます。海外の自由に授業を選択できるシステムの学校の場合は、週に1回、定期的に試験対策のクラスがあり、受験を考えている学生はそのクラスに参加します。そして、試験後2週間くらいはそのクラスはお休みになり、しばらくすると再開という流れを繰り返しています。

国内日本語学校と海外日本語学校

国内の日本語学校では、年間を通じてスケジュールがきっちり決まっているイメージがあります。一方、海外の日本語学校は、もちろんいろいろな学校がありますが、自由に授業を選択できるシステムだったり、授業内容も教師が独自で作っていくスタイルだったりと、比較的自由な雰囲気です その背景には、国内の学校では進学を目指す人が多いことが挙げられます。日本の学校はほとんど受験時期が決まっているため、それに合わせた入校時期や、授業スケジュールを組む必要があります。大学や専門学校は基本的に4月入学です。海外は年に何度かチャンスがある大学等もあります。日本社会の性質に合わせた形で日本語学校の授業スケジュールも設定されていると言えます。 日本語学校、日本語教育は日本語を学ぶだけでなく、日本文化や日本の性質を理解するという側面も持ち合わせているので、日本語学校で「日本」に慣れていくというのも大切な体験かもしれません。また、進学のみならず、日本で働く前に、日本語学校で勉強するのは自国から日本社会へ適応するために、ワンクッション置くという意味で日本語学校をうまく活用するといいのではないかと思います

イベント・行事

それぞれの日本語学校では、年間を通してさまざまなイベントが行われています。その中で代表的なのが、学校で学んだ成果を発揮できる日本語スピーチコンテストです。参加者を募っての開催なので、自主的に行動できる学生にとってはいいアウトプットの機会になります。その他にも、自分の国の料理をクラスメイトや教師に振る舞う料理レクリエーションを行う学校もあるようです。同じ国出身の学生が何人かでグループを作り、他の学生たちに日本語で作り方を説明して、一緒に料理をするというイベントです。 東京ディズニーランドや富士急ハイランドに遠足に行く学校もあるようです。こちらは実際に学生側で参加した日本語学習者の方に、感想を聞きました。「入校してすぐのイベントなので、まだクラスメイトと打ち解けておらず一人で回ってさみしかった」とのことでした。学校側はよかれと思って企画しても、学生がうまく活用できない場合もあるということですね。 これらの日本語学校でのイベント・行事に共通することは、日本語「で」何かをすることを目的としている点です。座学の授業だけでない、実生活に近い形でアウトプットする機会が設けられています。 卒業式を丁寧に行う学校もあります。日本の高校などと同じように、3月の最終週に卒業証書が発行され、学校長から手渡しされます。

まとめ

以上、初級クラス・進学クラスの入校時期やスケジュールについて、例を交えながら見てきました。どのクラスも細かく到達目標が定められており、レベルによって効率のいい学習ができるスケジュールが組まれていることが分かりました。 JLPTやEJUなどの試験対策は、国内・海外ともに直前になると通常授業とは別で、特別な対策講座が開かれています。進学目的の場合は入校時期もしっかり吟味する必要があります。 日本語学校内で日本語スピーチコンテストなどのイベントが開催されているのは、通常授業だけの毎日にメリハリを持たせる意味もありそうです。もちろん学んだことのアウトプットや、クラスメイト同士の仲を深める役割もあるはずです。ところで、日本語教育研究の授業で「ラポール形成」という言葉を聞いたことはありませんか?例えば、ある活動を通して、学習者同士や教師との関係を築くことです。日本語学校での各種イベント・行事もこれに値するのではないかと思います。

さいごに

日本語学校の1年間のスケジュールはそれぞれの学校によって変わってくるので、日本語教師として働くときに、事前に学校案内を資料請求するなどして、よく理解してから応募したいものです。学校全体のやり方が、自分の希望する授業スタイルに合っていることも非常に重要です。 海外だとかなり自由な学校もあるので、日本の堅苦しい学校体制が合わないという人は、思い切って日本を飛び出してみるのもいいでしょう。アジアの有名な日本語学校のひとつは、すべて教師の裁量で授業を行い、教科書もないようです。 今回の記事を読んで、少しでもみなさまの日本語教師ライフが充実したものになれば幸いです!

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