【大学進学】日本語教師になるために大学は必要?実際の応募条件や大学に行くメリット

もしあなたが日本語教師を目指しているとしたら、日本で教えることを希望ますか?

それとも海外で教えることを希望しますか?

日本語学校での勤務希望ですか?

それとも小学校など公的な教育機関勤務を希望しますか?

実は、日本語教師になるために必要な資格はありません(2021年3月現在)。

塾の講師と同じように、誰でもなることができます。

しかし、日本国内で法務省が告示する日本語学校の教師になるためには、以下の条件のうちいずれかを満たす必要があります。

① 日本語教育能力検定試験に合格する

② 学士の学位をもち、文化庁認定の日本語教師養成講座(420時間)を修了する

③ 大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する

つまり①さえ満たすことができれば、誰でも日本国内の日本語学校の教師になることができます。

本当にそうなのでしょうか

今回の記事では、日本語教師になるために大学に進学することによって起こる、さまざまな利点について解説します。

参考:
JEGS 日本語教師 info
https://www.jegsi.com/jlt/about-jlt

目次

実際の応募条件について

前述のとおり、日本語教師になるための資格はありませんので、採用条件はさまざまです。

しかし、働きたい国や教育機関などが決まっているのであれば、資格取得は必要になってきます。

この章では、具体的に検証していきます。

アジア圏の場合

例えば、アジア圏で日本語教師になりたいのであれば、就労ビザを取得するのに「4大卒以上」という条件が課せられている国もあるので、注意が必要です。

その場合は、大学での専攻が日本語教育に限られているわけではありません。

むしろ必要とされることが多いのが教員免許です。

カンボジアの幼少中一貫校やベトナム・ハノイの幼少中高一貫校などの募集要件を見ると、教育する対象となる属性の教員免許が必須となっています。

求人例:カンボジア

2021年3月公開情報

職務内容
カンボジアにある幼稚園小学校中学校一貫校の幼稚部クラス担任として指導(日本語での指導)、カンボジア人の先生への指導、教材作成、カリキュラム作成、来客対応、事務作業など

応募資格
必要な語学力:日本語
必要な資格:幼稚部教諭免許もしくは保育士資格、教育現場経験2年以上(海外経験者優遇)

参考:
CIESF Leaders Academy(シーセフ リーダーズ アカデミー)
https://www.clapp.edu.kh/home

求人例:ベトナム①

2020年2月公開情報

職務内容
ベトナム現地の子どもたちに、日本語で日本のカリキュラムに基づいた教育を行う

応募資格
大学の卒業証書及び教員免許状を所有している方
教職経験が3年以上ある方(幼小中共通)

内容を見てみると、高校生以下を対象とした学校では、日本語を教えるだけでなく、教育全般に関わる役割を求められていることがわかります。

日本語学校ではなく、公的な教育機関で働く日本語教師になりたいのであれば、教員免許が必要だと考えておいた方が良いでしょう。

一方で、日本語学校や大学などで大人に対して日本語のみを教える場合は、教員免許は必要とされません。

参考:
Trường Quốc Tế Nhật Bản Facebookページ
https://www.facebook.com/JISVietnam

求人例:ベトナム②

2021年3月公開情報

職務内容
ベトナムの工学系私立大学で日本語を教える

応募資格
4年制大学卒業

以下のA~Cのいずれか(または複数)を満たす方
A:大学で日本語教育専攻/副専攻
B:日本語教育能力検定試験合格
C:日本語教師養成講座420時間修了

このように、教育対象によって教員免許が必要か否かが大きく変わってくるのが、アジアで働く日本語教師の実情です。

参考:
HUTECH(ホーチミン科学技術大学)
www.hutech.edu.vn

欧米圏の場合

アジア圏では「日本に行って仕事をするために、日本語学校で日本語を学ぶ」というニーズが存在していますが、欧米圏ではそのようなニーズはあまりありません。

したがって、日本語教師の需要は外国語の選択科目として日本語を学習している、公立・私立の小中高校であることがほとんどです。

小中高校の教師として働くわけですから、それぞれの国の教師採用の条件を満たさなければなりません。

例えば、現地の大学で教職課程などを履修し、卒業しなければならないとなると、少なくとも数年の時間を要します。

もし欧米で日本語教師になりたいと考えるのであれば、就業したいと考えている国の大学などに留学し、教員免許を取得する必要があるということになります。

日本語教育能力検定試験の合格率

公益財団法人日本国際教育支援協会が公開している資料によると、令和2年の日本語教育能力検定試験の合格者は2,613人で、応募者に対しての合格率は23.0%です。

2018年に実施された司法試験の合格率は29.1%です。

合格率だけをみれば、司法試験よりも難関であると言えます。

このように、誰でも受けられる検定試験ではありますが、合格するのは相当難しいという事実は理解しておいた方がよいでしょう。

参考:
公益財団法人日本国際教育支援協会 令和2年度日本語教育能力検定試験のデータ
http://www.jees.or.jp/jltct/result.htm

文化庁認定「日本語教師養成講座」とは?

文化庁認定の日本語教師養成講座とは、文化庁の「日本語教育機関の法務省告示基準第1条第1項第13号に定める日本語教員の要件について」に沿って設計された、日本語教員養成研修実施機関・団体が実施する講座のことです。

こちらを受講して修了さえすれば、超難関である日本語教育能力検定試験に合格する必要はありません。

しかし、それには条件があります。

法務省の新基準公示によると、日本語教師になるには「学士、修士または博士の学位を有し」「かつ、日本語教育に関する研修であって適当と認められるものを420単位時間以上受講し、これを修了した者」と定められています。

ですので、養成講座を受けて日本語教師の資格を得るためには、大学に進学して学位を取得していることが条件となっています。

大学で日本語教育を学ぶには

もうひとつの条件である「大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する」を満たすためには、認定されている大学に入学し、学位を取得する必要があります。

2021年3月現在において、大学で提供されている日本語教師養成課程には、その「必須の教育内容」を含むものに対応済みのものと、そうではないもの(対応を検討中のもの)がありますので、注意が必要です。

もしあなたが大学に進学する前で、将来は日本語教師になりたいと考えるのであれば、必須の教育内容に対応している日本語教師養成課程を受験して、学位を得るという方法が一番確実かもしれません。

参考:
文化庁「日本語教師養成課程を実施する大学一覧」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/92159301.html

まとめ

日本語教師になるためには、学位取得の必要はありません。

しかし、よくよく状況を調べてみると、4年制大学に進学して学士の資格を取得しておいた方が、かなり有利に働くことがわかりました。

さらには、公的な教育機関や欧米での就業を希望するのであれば、教員免許の取得や海外の大学への進学を実行したほうが良いという事実も判明しました。

高校生や中学生の段階で、もし日本語教師になりたいのであれば、将来どのような場所で日本語を教えたいのかを考えて、進路を決めていくと良いでしょう。

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