私は2年前に日本語学校を退職し、現在は海外で暮らしながら、フリーランスのマーケティングプランナーとして活動する傍ら、オンラインで世界中の日本語学習者に日本語を教えています。
コロナ禍において、オンラインでの日本語教師に移行したいと考えている方も少なくないと思います。
現在2つのオンラインプラットフォームで、日本語教師として活動している経験を踏まえて、2つのサイトの特徴とメリットをまとめました。
私が利用しているオンラインプラットフォームは、以下の2社です。
・Preply.com
・倍普
プロフィール
大学卒業後、中堅広告会社に就職。
法人営業を経てプロモーション戦略プランナーを担当。
不動産開発のクライアントをメインに大型再開発から戸建て開発まで様々プロジェクトの広告戦略に携わる。
その中で、コピーライティングやコンセプトメイクなどの仕事を通じて、日本語の面白さを再認識。
以前から興味のあった日本語教師を目指し、16年間勤めてきた会社を退職。
退職後は独学で日本語教育能力検定試験に合格し、タイの日本語学校で日本語教師デビュー。
技能実習生や医療関係従事者に通算10,000時間以上教えてきた。
現在は海外に拠点をおき、フリーランスのマーケティングプランナーとして活動する傍ら、オンラインで世界中の日本語学習者に日本語を教えている。
得意分野は「日本で働く外国人」のための日本語会話。
概要
Preply.comとは?
Preply.comは、ウクライナで作られたオンライン学習プラットフォームです。
185カ国の講師が登録しており、学習できる言語は50言語ほどあります。
サイト内には、ビデオ通話機能やスケジュール表など、レッスンをする上で必要な機能がすべて実装されているため、教師を探して実際にレッスンを受けるまでのすべてがワンストップサービスになっています。
自由度の高さとサイトの使いやすさが魅力ですが、アメリカ法人のオンラインサービスなので、利用にあたっては英語が前提となります。
https://preply.com/ja/online/english-tutors#_prefNDg3MTczMA==
倍普とは?
中国企業が運営する、中国人のための日本語オンライン会話レッスンサービスです。
生徒が教師を選べる点や予約がなければレッスンがない部分は、Preply.comと似ています。
指定カリキュラムとオリジナル教材があることや、専用ツールでの生徒・スケジュール・授業の管理を行うという点では、オンラインながらもリアルな日本語学校の形態に近い運営を行なっています。
Preply.comの特徴
すべてが自由
Preplyに登録する際に一番驚いたことは、面接がなく、資格も不問ということです。
プロフィールや各種証明書の審査はあるものの、基本的には最終学歴が大卒であれば誰でも教師になれてしまうのです。
この教師に対する自由度の高さは、生徒の立場からすると不安要素は高そうです。
そのため、生徒の不安要素を考慮して、教師プロフィールの中で「日本語教師としての総授業時間数」や「日本語教育能力検定試験合格者である点」をアピールしました。
ボランティアではなく、有料のレッスンである以上は、少しでも生徒に対して安心感を与えたいと思っています。
レッスン料が自由に設定できる
料金設定は、教師側で自由に設定することができます。
ただし、オンラインデビューしたての教師は8ドル前後の方が多い印象です。
プロフィールに、通算レッスン時間と生徒数が表示されるため、新人教師は実績を稼ぐためには料金を安く設定せざるを得ないからです。
その中でも、人気のある教師の場合は20~40ドルという料金設定の方もいらっしゃいますが、大半の教師は15ドル前後のようです。
ただし、Preply.comでは手数料が取られるため、最初の20時間はレッスン料に対し、67%が手取りになります。
また、総レッスン時間数に応じて、段階的に手数料のレートが下がっていく仕組みになっています。
さらに、新しく予約を入れた生徒の初回レッスンは「Trial Lesson」という扱いになり、手数料が100%となり、教師側は無料で教えることになります。
一方で、生徒は初回レッスン料を満額支払っているため、集客施策というわけではなく、運営会社だけにメリットがある釈然としないルールになっています。
「どのくらいの収入になるの?」かというと、結論から述べると、Preply.com一本で日本語教師として食べていくのは難しいと思います。
私は日本語教師として10,000時間以上の経験がありますが、Preply.comでは期待したほどには生徒からの予約が入りませんでした。
収入イメージ
生徒4人×週2時間×4週=32時間
レッスン料10ドル×32時間
=320ドル 320ドル×(100%-手数料28%)
=230.4ドル(約26,500円 )
総額も少ないのですが、やはり手数料が高すぎるという感想です。
また、Preply.com内での実績が豊富な教師が選ばれる傾向にあるというのも、予約が入りにくい大きな要因でした。
これからPreply.comでデビューするのであれば、本業にすることを目指すより副業ぐらいに目標設定したほうが、長く続けられそうな気がします。
私自身も早めに「お小遣い程度の副業」に方針転換しました。
教え方が自分で選べる
通常の日本語学校では、指定の教材を使って教えることが一般的です。
一方で、Preply.comでは指定教材がないので、生徒のニーズに合っていることを前提に、何をどうやって教えるのも教師の自由となります。
日本語を学ぶ目的や目標は一人ひとり異なるため、レッスンのたびに生徒数だけ教材を用意するという時間外労働が発生します。
生徒のニーズによってはテキストを追加で買う必要もあるため、出費が発生することもあります。
私の場合は、他の教師と差別化を図るため、あえてプロフィールの中でビジネス日本語に特化させ、結果的には教材準備の負担を減らすことが出来ました。
詳細は異なるものの「ビジネス日本語のスキルアップ」という大きな括りでのニーズに共通点のある生徒が集まってきました。
そうすることで、教材の流用ができて、準備の負担が軽減できました。
きっちりとしたタイプのレッスンではなく、雑談をメインとしている教師もいるようで、その点も含めて自由度が高いのがPreply.comの特徴です。
Preply.comを利用してみた総評
教え方と料金設定の自由度が高い点は魅力的ですが、毎月の収入が予測しづらく理想的な収入にはならないという印象です。
個人的には、Preply.comに力を入れていくのはやめておこうという結論に至りました。
倍普の特徴
良い意味で自由度が低い
思いついた日から教師デビューができる自由さが特徴のPreply.comに対し、倍普では、書類選考と模擬授業による面接をクリアしなければ教師デビューが出来ません。
カリキュラムと教材があらかじめ用意されている点も、すべてが自由なPreply.comと対照的です。
生徒一人ひとりのニーズ調査から、シラバス・カリキュラムなどを一切作る必要がないため、準備作業が発生せずに楽だなとレッスンのたびに感じています。
1コマが25分/40分の設定
25分という極端に時間設定の短いレッスンは、倍普で初めて経験しました。
その短さからか、生徒も教師も集中力が下がることがなく、逆に密度の高いレッスンに感じました。
1レッスンあたりの教材量も少なめのため、時間配分の調整に追われずにすみ、教えやすいポイントだと感じました。
手数料がなくレッスン料金は固定
Preply.comでは最大33%と手数料が高く設定されていますが、倍普では教師に対する手数料が発生しません。
給与はPayPalでの受け取るため、受け取り時の手数料は発生しますが数%と微々たるものです。
一方で、倍普ではレッスン料金を自由に設定することが出来ません。
Preply.comのように、1時間40ドルと自由に高めに設定するようなことが出来ないということです。
30コマまでは研修期間となり、25分レッスンで500円、時給換算で1,000円です。
コマ数に応じてレッスン料が上がっていき、1ヶ月あたり211コマ以上になると780円、時給換算で1,560円となります。
ただし、月が変わるとリセットされ、再び最低レートからになる点は注意が必要です。
手数料がないため、手取り時給が1,000円〜というのは時給として悪くないと感じています。
レッスン時間外の教材準備作業もなく、満足度の高い金額と言えます。
倍普を利用してみた総評
教材とカリキュラムが用意されていて、事前準備に費やす時間や労力の負担が少なくて助かっています。
レッスン料は固定で安くも高くもない金額ですが、私の場合はPreply.comよりも月当たりの収入に変動が少なく安定しています。
さらに、日本語教師デビューをしてまだ日の浅い方にとっては、教材支給という教えやすさと、1コマ25分という短さは経験を積む場として好条件だと思います。
利用するにはどちらが良いか?
Preply.comと倍普のどちらが良いかというと、日本語教師としてのキャリア形成や収入など、何に重きを置くかによって変わるため、ポイントを3つに分けて考えてみました。
さらなる成長をしたい場合
Preply.comがおすすめ
多くの生徒と接し、ニーズ調査からシラバス・教案・教材作成まで、日々試行錯誤する機会を得たいという場合は、Preply.comがおすすめです。
とにかく自由に、自身の裁量で進めることができる点は、Preply.comの良さだと思います。
初心者なのでまずは経験を積みたい場合
倍普がおすすめ
より短い期間で、日本語教師としての経験を積んで初心者を卒業したい場合は、玄人教師向けともいえるPreply.comで始めて試行錯誤するより、完成されたプログラムが準備されている倍普がおすすめです。
安定した収入の副業として取り組みたい場合
倍普がおすすめ
1ヶ月あたりの収入をコントロールしながら安定させたい場合は、倍普がおすすめです。
副業として自分自身で働く量を調整しやすいという点において、安定性は高いと思います。
キャリアよりも収入を重視するのであれば、レッスン時間外の作業がないことが重要だと思います。
まとめ
私の個人的な見解としては、副業としての収入の安定性も欲しい一方で、日本語教師として純粋に教えることを楽しみたいという欲張りな性格のため「Preply.comと倍普をバランスよく使っていく」という結論に至りました。