日本語教師のキャリアアップとは?具体的な3つのパターンを紹介

日本語教師は、働き方や働く環境の選択肢が多様な職業のひとつです。

そのため、役職や雇用形態の向上、評価に繋がる資格やスキルの取得など、キャリアアップについて考える機会も多いのではないでしょうか

日本語教師のキャリアアップとは、具体的にどのようなことを指すのか、キャリアアップするための方法にはどんなものがあるのか、見ていきたいと思います。

みなさんの情報収集の参考になりましたら幸いです!

目次

キャリアアップとは?

「キャリアアップ」の一般的な定義

キャリアアップ」には、主に2つの意味があるとされています。

1つ目は、特定の分野について専門的な知識・スキルを身につけ、能力を向上させることです。

現在働いている会社の中で昇進したり、資格取得によって幅広い業務を担当できるようになったりすることがその例です。

2つ目は、より待遇のよい環境に転職することです。

会社や職種が変わることでより収入が多い仕事を得たり、上の役職に就いたりするなど、自らの市場価値が高まることを指します。

日本語教師のキャリアアップ

今回の記事では、キャリアアップの1つ目の意味に絞り、日本語教師という職種内での自身の知識やスキルの向上、昇給などについて考えていきたいと思います。

日本語教師の場合、以下のような目標が、キャリアアップの1つ目の定義に該当するのではないでしょうか?

・主任になって、日本語学校の運営や授業計画の作成に関わりたい
・非常勤から常勤教師になって、給与をアップさせたい
・パソコンのスキルを磨いて、オンライン授業に対応できるようになりたい

次の項目からは、キャリアアップには具体的にどのようなパターンがあるのかを整理していきたいと思います。

パターン1】より上のポジションを目指す

非常勤から常勤になる

非常勤の場合、以下のいずれかに該当すれば応募できる求人がほとんどです。

・420時間の養成講座修了
・日本語教育能力検定試験合格
・大学や大学院での日本語教育専攻

常勤の場合、それに加えて日本語教師としての経験が必要になります。

経験年数は求人にもよりますが、不問〜3年という場合が多いようです。

日本語教師としてキャリアをスタートさせるときには、非常勤から始める方がほとんどだと思います。

しかし経験年数が増えるにつれ、常勤の求人にも応募できるようになります。

主任教員を務める

校長と並んで、日本語学校の要となる役職です。

学校の教育方針や授業カリキュラムの作成など学校運営に携わる一方で、教壇にも立ち、他の日本語教師の育成や管理も担当します。

留学生に日本語を教える日本語教師でありながら、責任者や管理者としての役割を担う立場でもあります。

主任教員になるための要件は、以下の2点です。

・常勤で働いている
・告示校の日本語教師としての経験が3年以上ある

ちなみに、告示校とは、法務省が日本語学校の名称・規則・教育課程・生徒数・設備などについて定めた告示を満たしている学校のことを指します。

外国籍の方が日本に滞在するビザに関連する業務を担っているのが、法務省です。

告示校の学生には留学ビザが発行されます。

パターン2】資格・スキルを取得する

日本語教育能力検定試験に合格する

日本語教師となるために学習している人や日本語教育に携わっている人に必要とされる、基礎的な知識・能力を検定することを目的とした試験で、毎年10月に行われています。

日本語教師として働くために必須の資格ではありませんが、採用条件のひとつとなっている日本語学校も少なくありません。

そのため、検定試験に合格することで、応募できる求人の選択肢が増えるというメリットがあります。

また、日本語の文法や発音、学習者の文化や心理について理論的に考える力がつくことで、より効率よく授業を組み立てたり、文型を分析したりすることができるようになり、スキルアップにもつながります。

全レベルの授業を担当する

初級から上級まで、すべての日本語レベルを教えられるようになることも、キャリアアップのひとつの方法です。

初級レベル

初級レベルの学習者に教える際のポイントは、学習済みの文型や語彙のみを使って説明する「語彙コントロール」のスキルです。

場合によっては、学習者の母語でサポートをするために外国語のスキルもあるといいと思います。

日本語学習の入り口ですので、学習者が楽しく勉強したり日本語に興味を持ったりできるよう、教師が学習者のモチベーションを高く保つことも大切です。

中級〜上級レベル

一方、中級や上級の授業では、形や意味が類似している文型の使い分けや読解問題の練習などを扱うため、教師側もより専門的な文法知識教科書分析が必要となります。

学習者からの何気ない質問や難しい質問に、知識と誠意をもって回答できるかどうかが、教師への信頼に関わってくるのではないでしょうか。

各級の教え方のポイントを押さえて、どのレベルも教えられるようにすることで、担当できる授業の幅が広がります

パソコンスキルを磨く

新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン授業を行う教育機関が増加しました。

日本語教師の求人でも、求められるスキル欄に以下のような記載があることが少なくありません。

・最低限のパソコンスキル
・Word、Excel、PowerPointが使える
・IoTに興味がある など

今後も教室に集まっての授業が不可能な状況や、海外で来日のタイミングを待つ学習者に授業を行うという状況が続くと思いますので、対面授業もオンライン授業も対応できる日本語教師になることが求められます。

オンライン授業に対応できない場合は、担当できる授業のコマ数が減ってしまうという可能性もあります。

パターン3】よりハイレベルな業務・職場に挑戦する

進路指導を担当する

日本語学校を卒業した学生は、引き続き日本に滞在し、進学や就職など次のステージに進む方がほとんどです。

適切な進路選択ができるように指導するのも、日本語教師の業務のひとつです。

学生がどのような進路を選ぶかによって、必要な試験やビザの種類が変わってくるため、進路指導にあたる教師は正しい知識を身に付ける必要があります。

例えば、進学の場合は、大学院・大学・専門学校の3つが主です。

大学院の場合
母国で学士(大学卒業)の学位を取得している必要があり、入試の際には研究計画書を提出しなければならないため、必然的にN1相当の高い日本語能力が必要になります。

大学の場合
EJU(日本留学試験)を受験しなければなりません。

専門学校の場合
学校のレベルや専攻、学費などがさまざまなので、入念なリサーチが必要です。

なお、就職の場合は、就労ビザを申請することになりますが、母国で卒業した大学の専攻と就職先の業務内容が合致していなければならないというルールがあります。

大学講師になる

より高度な教育内容やよりよい待遇を求めて、大学で講師になるという方法もあります。

大学は高等教育機関かつ研究機関であるため、日本語を教える場合は、修士(大学院卒業)博士の学位が必要となります。

求人を見ていると、学位に加えて、日本語教育に関する研究実績外国語で授業を行うスキルなど、かなりハイレベルな応募要件がほとんどです。

ただし、日本語教育の分野は社会人入学の制度を利用して、日本語教師経験を積んでから大学院に進学する方も多いので、現在修士以上の学位を持っていない方でも、大学講師を目指すことが可能です。

番外編】海外での就職

日本国内では、日本語教師は薄給で待遇もあまりよくないというイメージがあると思います。

しかし、海外で日本語教師をする場合、雇用先から住まいの提供や一時帰国費用の負担などの支援が受けられたり、物価が安い国で経済的な余裕をもって生活できたり、金銭面でのメリットがあります。

また、海外は日本に比べて応募要件が厳しくない場合もあるので、日本で非常勤として働いている人でも、海外では常勤になれる可能性があります

その経験をもって、帰国後に日本で常勤になるというキャリアアップのパターンも考えられます。

ただし、気を付けなければならない点もあります。

それは、日本国内では海外での経験年数が考慮されない場合があるということです。

応募要件に日本語教師としての経験年数が記載されている場合、日本国内の日本語学校や教育機関、さらに前述の法務省告示校が想定されているため「経験年数」という面では注意が必要です。

帰国後、国内の求人に応募する際に気を付けるべきポイントです。

まとめ

以上、日本語教師のキャリアアップについて見てきました。

冒頭でも述べたとおり、日本語教師という仕事には多様な働き方があり、今回の記事でまとめたようにキャリアアップのパターンもひとつではありません

個人の資格やスキルを磨いたり、自分に合った働き方を選択したりすこることで、よりよい環境で働けるようになります。

私たち日本語教師スタイルは、日本語教師の皆さんの転職やキャリアアップを応援しています!

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