資格なしや未経験でも大丈夫?
プラットフォームであれば大丈夫
特に学校や企業などに所属せず個人的に教えるという場合であれば、無資格・未経験でもオンライン日本語教師になることができます。
オンラインで教えたい日本語教師と日本語を習いたい学習者が登録しているプラットフォームを利用します。
プロフィールや顔写真を登録し、料金やレッスン内容を設定すれば、すぐにスタートできます。
ただし、パソコンやヘッドセット、Wi-Fiなど、オンラインレッスンができる環境整備が必要です。
プラットフォームを見てみると、以下のようにさまざまなレッスンが行われています。
特定のニーズに応えるレッスン
・JLPT(日本語能力試験)の対策講座
・『げんき』などの教科書を使った文法学習 など
自由度の高いレッスン
・フリートーク
・興味のあるニュースを読む など
後者の場合「自分も外国語を学習中である」「外国の方と交流したい」という目的の方も多く、特に日本語教師としての資格を持っていない方もいらっしゃいました。
スキルアップが必要
無資格・未経験でスタートできるとはいえ、大手プラットフォームになると数百人の登録者がいるため、その中で頭ひとつ抜けるためには、資格取得や講座の受講など、やはり資格や免許があるといいと思います。
以下のような、学習者から選ばれるための努力が必要です。
・日本語教育能力検定試験への合格
・420時間の日本語教師養成講座の受講
・外国語能力の向上 など
オンライン日本語教師の求人募集にはどんなものがある?
次に、学校や企業が出している求人について見ていきましょう。
こちらは個人的に授業を行うことができるプラットフォームとは違い、学校や企業に所属し、そのカリキュラムや方針の中で授業を行う場合になります。
ネット上の求人例
以下の3つは、実際に求人サイトに掲載されていたオンライン日本語教師の求人です。
例:日本に本社があるフィリピン企業での非常勤教師
学習者:
日本へ留学希望、日系企業へ就職希望のフィリピン人
人数:
グループレッスン(最大15名)
レベル:
ゼロ初級~N5
教材:
みんなの日本語、オリジナルのオンライン教材
勤務時間:
週3回・19:00~22:30
応募条件:
・420時間の日本語教師養成講座修了
・日本語教育能力検定試験合格
・大学で日本語教育専攻
・日本語教師経験1年以上
・パソコンスキル
給与:
1回(3.5時間)2,800円
例:日本語学校での非常勤教師
学習者:
日本語の会話力を高めたい中国人留学生
人数:
マンツーマン(1コマ30分)
レベル:
学生による
教材:
指定教材なし、教師が準備した内容
勤務時間:
週5回・1日3時間以上
応募条件:
・420時間の日本語教師養成講座修了
・日本語教育能力検定試験合格
・大学で日本語教育専攻
・日本語教師経験1年以上
・四大卒
・中国語が堪能
・パソコンスキル
給与:
2コマで850~1,000円
例:オンライン外国語学習を提供する企業でのアルバイト
学習者:
多国籍な登録者
人数:
個別指導(1コマ50分)
レベル:
学生による
教材:
企業から提供されたもの
勤務時間:
自分の都合に合わせて好きな時間にレッスンを入れる
応募条件:
・日本語教師経験6ヶ月以上
・大卒以上
・パソコンスキル
・授業を行うことができる英語もしくは中国語スキル
・420時間の日本語教師養成講座修了者優遇
給与:
時給1,193円
求人の特徴
前述のプラットフォームへの登録とは違い、これらの求人は学校や企業に属することになるため、日本語教師としての資格や経験が必要になります。
学習者の母語のスキルが求められるケースも多いです。
オンラインでは直接指導ができないため、パソコン操作のトラブルや授業のルールといった事務的な説明を学習者の母語で行わなければならないためかと思われます。
また、日本語学校と比べて学習者のレベルにバラつきがあることもあるため、外国語での補助が必要になるのではないでしょうか。
学校や企業所属のオンライン日本語教師は、通常の対面授業を行う日本語教師よりもハイレベルな求人と言えます。
収入はどれくらい?
プラットフォームでは自分で料金設定ができるので、人によりさまざまで、時給500円~3,000円と幅があるようです。
資格の有無や外国語対応の可否などで、料金に差が付きます。
そして、プラットフォームの場合は、手数料(15~40%)が取られる点に留意してください。
学校や企業に属するオンライン教師の場合、上記の求人例が一例です。
通常の日本語教師の時給が1,300~2,500円くらいであることを考えると、上記求人は少し安め~平均的な時給と言えます。
オンライン日本語教師のメリット
未経験・無資格でも始めやすい
前述のとおり、資格や経験がなくても、プラットフォームであれば、登録が完了次第レッスンをスタートすることができます。
以下のような方も、気軽に挑戦することができます。
・養成講座を修了したてで授業のイメージが湧かない方
・本格的に教師になる前に練習がしたい方
在宅で勤務できる
自分の好きな時間に授業を入れられたり、自宅で授業準備ができたりするので、働き方の自由度が高いです。
副業として教えたり、育児などの合間に教えたりすることも可能です。
また、オンラインの場合は学習者が全世界にいるため、時差を利用して、朝の時間帯に欧米の方に教えるなど、スキマ時間の活用も可能です。
学習者の多様性
日本国内で教える場合、その企業や学校に所属する学習者のみが教える対象であり、学習者の国籍も限られると思います。
オンラインの場合は、国籍や学習の動機もさまざまな学習者が集まっているため、日本語教師としての経験をより多く積むことができると思います。
オンライン日本語教師のデメリット
設備費や教材費がかかる
パソコン、ヘッドセット、Wi-Fi環境といった道具・設備が必要です。
読み書きを教える場合はホワイトボード、オンラインで添削をする場合はタブレットなども必要になるでしょう。
プラットフォームの場合は、教材も自分で用意しなければなりません。
企業や学校の求人にも、教科書の準備は自己負担というところもありました。
そのため、教科書や教材が揃っている日本語学校とは異なり、初期費用がかかってしまいます。
収入が不安定
これまで見てきたように、プラットフォームでは教師の経験や資格の有無により、時給がさまざまです。
時給500円でレッスンを提供している先生もいらっしゃいます。
学習者が全然集まらなかった場合には、収入が見込めません。
学校や企業の求人でも、通常の対面の求人に比べ、時給が少し低い印象でした。
広告やルールの制定が必要
これはプラットフォームの場合になりますが、学習者を確保するために広告を出したり、好印象なプロフィールを作成したりと、集客のためのマーケティングを自分で行わなければなりません。
また、レッスン当日のキャンセルや振替、通信機器のトラブルによる遅刻・レッスン中断といった場合のルールも自分で作る必要があります。
学習者個人に合わせた対応が大変になることが予想されます。
まとめ
今回は、コロナ禍で人気を増しているオンライン日本語教師について見てきました。
対面授業とは異なることも多く、躊躇したり不便に感じたりしている方も多いかもしれません。
しかし、場所や時間、経験・資格を問わず働くことができるという点では、日本語教師の働き方の幅を広げることができる選択肢だと思います。