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教師インタビュー

byマガジン編集部 マガジン編集部

田代洋子さん(日本語教師✖️会社員)

日本語教師としての「私の流儀」

日本語教師と会社員の二足の草鞋で活躍されている「田代洋子」さんにお話を伺いました。

田代洋子女のプロフィール】

2019年10月から日本語教師としてのキャリアをスタートし、現在3年目。

一般企業に就職したが、会社への所属にとらわれない働き方をしたいと思い、日本語教師養成講座へ通うことを決意。

養成講座修了後、東京の日本語学校に採用され、6ヶ月の契約期間を満了。

現在は2校目の日本語学校で週2日働きながら、他の企業で週3日会社員としても勤務している。

 

420時間の日本語教師養成講座を修了。

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

フランスに留学したときにボランティアで日本語を教えたことがきっかけです。帰国後は日本の会社で正社員として働いたのですが、労働環境が良いとは言えず、5ヶ月くらいで辞めました。その企業で働いていた休憩時間のときに、会社に縛られない働き方、自分さえいれば何とかなる仕事がしたいなと思い、フランスで日本語を教えたことを思い出しました

また、私が通っていた中学校では、サマースクールのような外国からの短期留学生や日本にルーツを持つ学生の受け入れが多く、同級生のおばさんが日本語教師として勤務していたことも思い出しました。フランス留学時にちょっと教えてみたこともあるし、そのときも難さは感じつつもおもしろさややりがいのほうが大きかったので、まずは養成講座の資料請求から始めてみようと思い立ちました。

 

Q.今はどのような生徒さんを教えていらっしゃるのですか。

今の学校は、進学メインの学校ですが、レベル的にはひらがな・カタカナの勉強から始めるゼロ初級の学生もいれば、特進と言われるような大学院をめざす学生もいます。国籍の割合としては、半分は中国で、最近はベトナムも多く、3割~4割くらいを占めています。進学メインの学校にしては珍しいと思うのですが、フランス、アメリカ、韓国の学生も少しいます。以前はネパールの学生もいたのですが、コロナやビザの交付率が悪くなってしまったことで、今はネパールの学生はいないと思います。

 

私は初級~初中級を担当し、『みんなの日本語』を使って教えています。1学期(3ヶ月)で20課進む進度の速いAクラスと、1学期で10課進む進度の遅いSクラスがあるのですが、私はSクラスを担当しています。今学期では26~36課を学習する予定です。コロナの影響で新入生が入ってこないため、1クラスの人数は少なくなっていて、今のクラスは9人です。本来は1クラス最大20人で、どのクラスにもコンスタントに15人くらいはいる印象です。

 

 

 

Q.1校目と2校目では、学生の特徴や授業の進め方に違いはありますか。

1校目は会話がメインの学校で、1週間~2週間の短期コースや旅行者用のコースもありました。学生は話す意欲がとても高く多国籍で、私も楽しみながら教えることができました。ただし、会話練習がメインであるため、養成講座で習った文法積み上げ式ではなく、1校目として選ぶにはちょっとハードだったかなと思います。

 

最初にその日に学習する文型の使用場面を提示して、「今どんな場面だった?」「誰と話していた?」「どういう人たちが話していた?」「登場人物はどういうことをしたかった?」とどんどん質問を投げかけていき、使い方の確認をします。その次に、一部の言葉を変えてペアで練習してもらい、会話を発表してもらいます。その後も同じ文型を使った別のシチュエーションを提示し、使い方の確認、ペア練習、発表を繰り返していくという授業の流れです。例えば「~てもいいですか」という文型であれば、買い物に行って服を買うときの「この服を着てもいいですか?」という店員さんとお客さんのやり取りを見せて、許可を取るときに使うということを確認し、その後も会社や学校などいろいろシチュエーションを変えてやっていきます。養成講座で学んだ教授法とは全然違う感じでした。

 

 

 

Q.実際に授業で使用している教材や、オリジナルで作られている教材があれば、教えていただけますか。

今の学校では『みんなの日本語』と、それに即した『漢字練習帳』を使っています。学校が作成した、漢字を書くための方眼スペースがある練習本や新出語をまとめた冊子も使います。

 

前の学校では、その日に学習する文法事項と漢字しか決められていなかったので、全部オリジナルで教材を作成していました。会話の場面提示はパワーポイントで行っていました。絵や写真だけだと、聴き取りが全然できないという学生もいたので、吹き出しをつけて、スクリプトのように文字も載せるように工夫しました。

 

漢字の教材は割と評判がよかったです。その日習う漢字、音訓の読み、書き順、練習するスペース、その漢字を使った例文や語彙をプリント1枚にまとめるようにしていました。その日習う漢字が人偏の漢字の場合、「人偏の漢字いくつ覚えていますか?」とこれまでに習った漢字を思い出すスペースを作ったり、その漢字の成り立ちを紹介したり、あとは興味がある学生がいれば、簡単に解説ができる範囲で小説や短歌の一部も載せたりすることもありました。

 

Q.日本語教師としてのこだわりはありますか。

毎回できているわけではないのですが、なるべく楽しく授業することです。今はコロナの影響で1日3コマに減ってしまっていて、その中で時間割に沿って授業内容をどうしても詰め込んでいかなければいけないので、1つくらいは楽しい活動ができるようにしています。

 

Q.日本語教師として働くうえでの喜びはどんなことがありますか。

 

学生が「あ、わかった!」となる瞬間を見たときです。そういった理解の瞬間や、学生同士でうまく日本語で話せているとき、学習した内容を使って冗談が言えるようになっている姿を見ると嬉しく感じます。あとは、3月に卒業式があったのですが、卒業生たちが希望の進路に行けて喜んでいる姿を見るのも嬉しいです。

 

Q.逆に、苦労はどんなことがありますか。

 

単純作業で言えば、学生数が多いクラスを担当していると試験や宿題の採点が大変です。また、基本的に学生は可愛いのですが、問題児ほどではないけれどいつも寝ている学生や、にぎやかで教師の話を聞かないクラスに当たったときは、「せめて寝ないようにしてほしいな」「どういうふうに授業をすればもうちょっと話を聞いてもらえるかな」と悩むことはあります。

 

Q.尊敬できる日本語教師はいらっしゃいますか。

今いる学校の先生は、パワフルな先生が多くて、私もその先生と話すと元気になります。パワフルな先生は素敵だと思いますし、私もそういう教師になりたいと思います。

あとは、養成講座でお世話になった、東京中央日本語学院の吉田順子先生です。吉田先生も本当にパワフルだと思います。私が学生の立場だったときの先生なのですごく尊敬していますし、今でも授業方法の相談など連絡を取らせてもらっています。

 

Q.これからの日本語教育について、日本語の需要や業界の展望を聞かせていただけますか。

私が養成講座に通っていてこれから日本語教師になるというときには、オリンピックで日本語の需要が高まるという話がありました。ところが一転、今このような状況になって、今後どうなるのかなという不安もあります。コロナが終わったら、またある程度の学生は戻ってくると思いますが、Zoomなどを通じてオンラインで授業ができるということがよく分かったので、対面ではない授業というのもきっと増えるのではないでしょうか個人で日本語教育をしていくという教師も増えていくと思います。それに伴い、教師のクオリティを保つために公認日本語教師という話も出てきているのだと思います。ただ、どういう資格になるのかはまだよく分からないので、今は様子を見つつ、自分のスキルを磨き高めるしかないと思います。

 

Q.田代さんの個人的な今後の目標はありますか。

今は日本語教師は週2コマなので、授業数を増やしていきたいと思っています。社会保険などの懸念点があってなかなか増やせずにいるのですが、将来的には日本語教師のほうをメインにシフトチェンジしていきたいです。また、ずっと変わらず、日本を飛び出して海外で日本語教師をしたいという思いもあります。

 

 

Q.田代さんが自分らしいと思う働き方はどんな働き方ですか。

どうしても1つの会社にずっといたくないという思いがあるので、非常勤として働いているのは自分らしいと思います。世の中には1つの会社にいる人のほうが多いと思うのですが、今回コロナの影響で、その会社自体がダメになってしまったり、会社を維持するためにその人が首を切られてしまったりということがあり、助けを求めている人がたくさんいます。ですので、いろいろな業種で、企業でも働いて、日本語教師としても働いてというのが私には合っていると思います。あとは、3ヶ月ごとに変化があるというのが日本語学校の特徴ですが、定期的に変化があって飽きないというのも自分に合っていると思います。

 

Q.日本語教師の経験ともう一方のお仕事の経験が、お互いに役立ったり交わったりするときはありますか。

 

会社員のときは外国の方の対応をすることも多いのですが、まだ拙い日本語を話されている方の場合は、なるべく「やさしい日本語」で対応することができます。会社員の仕事が日本語教師のほうに直接役立つということはあまりないのですが、留学関係のNPOや日本語教師の団体の情報を見かけることもあり、日本語教育を取り巻く現状の把握に役立つときはあります

 

Q.学生との印象的な思い出はありますか。

今の学校では3ヶ月ごとに行事があり、春にはスポーツ大会、夏には防災訓練、秋には遠足、冬にはクラスで決めたイベントをすることになっています。特に印象に残っているのは、着任してすぐのときのスポーツ大会です。まだ今のような状況ではなかったので、みんなわいわい自由に取り組んでいました。私のクラスは、練習の段階では大縄が全然飛べなかったのですが、本番に強かったようで上の順位まで登りつめて表彰されていました。教師は、引率や進行、写真撮影など運営を行います。

 

Q.日本語教師の仕事を通じて学んだことを教えてください。

「やさしい日本語」がどういうものなのかということ、それを使えば日本語が流暢でなかったり日本語を知らなかったりする方にも、割と伝わるということは、日本語教師になって初めて知ったことです。

 

また、留学をしていたので、日本語を母語としない人とコミュニケーションを取ることはそれほど不慣れではなかったと思うのですが、実際に学生と話してみて、知識として知っているような気分でいたことや表面上知っていた文化のことを本当に彼らから聞くと、ようやく本当のところが垣間見えると感じました。なんとなく知っていただけのものが知識として深まりますし、よりお互いを知ることができるようになった気がします。

 

Q.日本語教師という仕事の魅力はどんな点だと思いますか。

私が思ういちばんの魅力で、しかもめざしたきっかけでもあるのは、自分さえいれば、いつでも、どこでも、どの国でも仕事ができるということです。

 

Q.座右の銘を教えていただけますか。

「頼まれたことはやる、なるべく断らない」というのがポリシーです。本当に稀なことですが、前の曜日の先生が授業用の進行をぽろっと見落としてしまい、翌日の担当である私がやらなければいけないときがあります。非常勤同士の先生で代講を頼まれたときや、全然予期していなかった担任業務が急に割り振られたときも、断らずにすべて引き受けるようにしています。

 

養成講座で初級文法の教授法を習った先生がおっしゃっていた「無事之名馬(ぶじこれめいば)」と言う言葉もすごく印象に残っています。仕事は着手すれば必ず終わりがありますし、学期も初めがあれば終わりがあるので、コツコツと最後まできちんとこなすということも大事だと思います。

 

Q.最後の質問になりますが、ご自身が思う日本語教師としての自分の強みはどんな点でしょうか。

今の学校に限ったことですが、フランス人の学生がいるので、フランス語が分かるというが強みになっています。学生からの質問や学生同士の会話をフランス語で聞いて日本語で答えたり、何か問題があったとき彼らの母国語であるフランス語で対応することができたりします。あとは、あまり物怖じするタイプではないですし、年齢もまだ学生と割と近いほうなので、打ち解けやすいです。教師歴も浅い分、学生もそんなに緊張はしないと思いますし、とっつきやすいというところは強みだと思います。

 

 

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マガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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