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教師インタビュー

by日本語教師スタイルマガジン編集部 日本語教師スタイルマガジン編集部

菅光晴さん(玉川国際学院文化部)

日本語教師としての「私の流儀」

玉川国際学院文化部という日本語学校で校長先生として活躍されている「菅光晴」さんにお話を伺いました。

【菅光晴氏のプロフィール】 埼玉県在住の47歳。 大学では英文科に所属。在学中に日本語教育能力検定試験を受験し、見事合格を果たす。 高校での英語教師などを経て、3年前にフジ国際語学院で日本語教師としてのキャリアをスタート。主に大学受験向けの小論文講座など、上級クラスを担当。 現在は、東京都千代田区にある玉川国際学院文化部という日本語学校で、現役の日本語教師として活躍されているのと同時に、校長という役職にも就いている。

Q.日本語教師を目指したきっかけを教えていただけますか。

大学受験に英語は必要ですが、日本で生活する限りは英語は使用することはありません。ほとんどの生徒は大学受験に合格するという目的のために英語を学んでいます。 それに対して、日本語学校で学んでいる学生たちというのは、日本に住んでいるわけですから、日本語学校の教師が教えた言葉をそのまま使って、生活もしていますし、受験もします。

 

教師が教えたことが100%役に立つ、これが日本語学校が持っているミッションの素晴らしいところです。 教師としてのやりがいについて考えた際、上記の理由で日本語教師の方が英語教師よりやりがいが大きいと感じたので、高校の英語の教師から日本語教師に転職をしました。

Q.日本語教師になる決心をする前に検定試験と受けられていますが、それはどうしてです か?

その頃、趣味で韓国語を勉強しており、1ヶ月に1回、韓国語を学ぶサークルに参加していました。 そこには韓国への留学経験がある人たちが大勢いたのですが、複数の方が「韓国に留学しながら、語学学校で日本語教師をやっていたことがとても楽しかった」というような話をしていました。

 

その話を聞いて、自分も同じことをしたいと思い、日本語教育の勉強を始めました。 アルクという出版社で通信教育がある教えてもらい、1ヶ月に2冊ずつ送られてくるテキストを基に、勉強してレポートを書いて、知識を蓄えていき、学習を始めて1年で検定試験に合格することができました。

Q.今はどのような方を教えていらっしゃるのでしょうか。

現在勤めている学校は、生徒の定員が160名ですので、最大で20人クラスが8個できる計算となります。国籍としては中国籍の学生が8割くらい、後はベトナム籍の学生で、今現在はその2ヶ国以外の学生はいません。

 

日本に来たばかりの人は初級レベルの学生が多く、ひらがな・カタカナから教えて『みんなの日本語』に入っていくという授業も担当しています。

 

その一方で、母国で日本語を学んできた学生向けの上級クラスも担当しており、主に大学入試の過去問を中心に教えています。 何故過去問を中心に教えているかというと、EJU(日本留学試験)を受験した学生に良い点数を取るのに何が役にたったかを聞いてみると、口をそろえて「過去問をひたすらやることです。」と答えていたからです。 JLPT(日本語能力試験)でいうところの、N2、N1のレベルのもう一段上に大学受験レベルが存在していて、上位校に受かろうとする場合、N1レベルの勉強では足りません。

 

大学受験レベルの問題を何回か解いたことがなければ、EJU(日本留学試験)で良い点を取ることはできないのです。   日本語学校は受験業界でもあると私は捉えています。

 

もちろん進学しない留学生もおりますが、東京で学んでいる留学生の場合は、東京都内の有名な大学や専門学校に入りたいという方がほとんどです。当然受験がありますので、「何月頃までにどんな準備をしなければならないのか」であるとか、「日本の大学受験をするのには決められた英語の試験を受けなければならない」とか、受験対策は必要です。 担当しているクラスの割合としては、8割(週4日)は上級クラスで、2割(週1日)だけ初級クラスに入っているという状態です。1日に4コマ(45分×4で180分)の授業を行っています。

学習者との思い出

Q.日本語教師として働く魅力について教えてください。

やはりいろいろな外国人に直接会って、その国の様子を聞けることが最大の魅力です。 他の職業では、そんなに頻繁に外国籍の方に会わないと思います。日本の中学校や高等学校で英語の教師をしていても、そんな経験を積むことは出来ません。

 

1日にベトナムの方やタイの方、インドの方と様々な国の人と対話をすることができて、いろいろな国の話を直接聞けるというチャンスはとても貴重です。

それから、日本語教師は基本的に1日当たり45分×4コマ、合計3時間くらいをひとりで授業するわけなので、生徒を飽きさせない工夫が求められて、それが非常に応用の利く技術として磨かれているという実感があります。

声の出し方であったりトーンであったり、初級クラスでは日常生活の場を再現するのに演技もします。そうやって身に着けた技術は、様々な場面で応用できると感じています。

 

また、上級クラスを担当していますと、自分の日本語が上達しているという実感が持てます。普段日本人同士で話したり、メールでやり取りするときも、知らず知らずのうちにN1の文法とか単語とかを使うようになっています。

 

日本語教師をやらなければ、おそらく「は」と「が」の違いなど考えずに一生を終えていましたし、一つ一つの言葉に関しても今ほど真剣に考えたりしなかったとだろうと思います。日本語教師になったことで、もっと日本語を深く知りたいという気持ちになり、慣用句や四字熟語、中国からきた故事成語とか、とにかく日本語の奥深い世界を楽しめているわけです。 「言葉好き」な人にとってはたまらない環境なのだろうと思います。

Q.日本語教師としてのこだわりは何かありますか?

日本語学校の教師というのは、「私は日本語を教えるんだ」という気持ちで教壇に立っていると思いますが、私がこだわっているのは、日本の文化とか歴史とか、日本人の情緒とかを伝えたいということです。 例えば、「日本人は、桜は咲くことよりも散ることに美しさを感じる人も多い」とかです。

 

日本には四季があり、ひな祭りとかこいのぼりとか伝統行事があり、その風情を楽しむ、日本人の情緒というようなものまで、総合的に伝えていきたいと思っています。

 

  また、漢字の使い方にはこだわっています。 漢字圏の学生から「それは漢字でどう書くんですか?」とか聞かれたりしますし、動詞なども漢字で書いてあげると、彼らもすぐ覚えることができるので、できるだけ漢字の知識を深めていこうと思っています。 漢字検定準1級は合格することができたので、今は1級の勉強をしています。

Q.使用されている教材やオリジナルの教材を教えてもらえませんか?

初級の場合『みんなの日本語』を使っています。中級の場合は『中級から学ぶ日本語』や『完全マスター 日本語能力試験 2級』という文法教材、上級の場合は『上級学習者のための読解ワークブック』です。 N1合格を目指している場合は『新完全マスター N1 文法』という本をよく使用しています。

 

  また、オリジナル教材ですが、こちらはかなり作成しました。 テーマごとにプリントを1枚作って配ることはよくやっています。 これは授業に変化を持たせるのと、学生の関心を惹くためには効果的です。授業を「では、テキストの何ページを開いてください」という形で始めるよりは、何か役に立つことを最初に話してから授業に始めるほうが面白いと感じてくれるようです。

 

例えば、「中国では原稿用紙で書く際、最初2マス空けるのですが、日本は1マスだけです」といったような話を紹介する「原稿用紙の使い方」という題のプリントを作成しました。 もちろん文法についてのプリントもあります。

 

例えば「~したら」と「たら」を使い分けについてです。 「駅に着くと電話してください」や「駅に着けば電話してください」という日本語は間違っていて、「駅に着いたら電話してください」というのが正しい日本語だ、というような、1項目で1枚というようなプリントがたくさんあります。

Q.尊敬している日本語教師の方はいらっしゃいますか。

今中国でご活躍なさってる笈川幸司先生という方です。 残念ながら直接お会いしたことはありません。YouTubeなどを通して活動内容を知りました。元お笑い芸人だということもあり、そのパフォーマンスといいますか、演技もすばらしいです。 また、声が良く通るので、声を聞いているだけでも尊敬してしまいます。

 

まったくのゼロ状態から中国で日本語教師を始めて、結果的には北京大学とか清華大学とか、中国で1、2を争うような大学で日本語の講義を担当していることは、ものすごいことです。 「日本語を日本語らしく読む」という独自の教授法を開発して、それが非常に評価されています。

 

最初は中国語もわからない状況だったと思うのですが、なんとしても相手にこの言葉を伝えたいんだということで、演技とか声のトーンとかを工夫して伝えていったという、その情熱がすばらしいとと思います。 その結果、どうしても中国語訛りになりがちな中国人の発音を徹底して治していくという発音矯正方法の開発を成し遂げたことは、素晴らしいとしか言いようがありません。

Q.日本語教師としての菅さんの強みは何だと思いますか。

自分自身も母国語以外の言語を必死に学んだ経験があることだと思います。 英文科でしたので英語はもちろんですが、韓国に3年留学していたので韓国語も本気で勉強しましたし、中国語も学びました。ハングル検定は1級に合格することができました。 この経験が今、日本語学校の教師として非常に役に立っています。

 

つまり、私自身が外国語を一生懸命勉強したときに、日本語と英語・韓国語・中国語の違いを考えていたわけですが、その際「韓国語でこの表現が難しいな」とか「英語でこの表現が難しいな」と感じたことがありました。 言語が違えば時々「これはどう表現したらいいのだろう」と悩む表現があるのですが、同じように悩んでいる学生たちの気持ちが理解できていると感じています。

 

つまり分析的に言語を見る習慣が身に付いているということになるのですが、それは自分の大きな財産になっています。

Q.座右の銘を教えていただけますか。

私の座右の銘は「人間万事塞翁が馬」です。 一見悪いことが起きたように見えても、あとになって考えると実はいいことだった、ということがあるという意味です。  

 

大学生の頃、自分は英文科なのに、なんで日本語教育なんか勉強し始めてしまったんだろうと後悔していた時期もあったのですが、今こうして日本語教師になってみると、あのとき検定試験に合格したから、日本語教師に転職することができたわけです。 何が幸いするか分からない、学んだことがいつ役に立つか分からない、と思うと、とても感慨深いです。  

 

もう一つエピソードがあります。 韓国の大学院に留学していたときに、外国語の試験を受けなければならない時がありました。その時、中国語を猛勉強せざるを得なくなったのですが、そのときに学んだことが今でもかなり頭に残っていて、中国人の学生とコミュニケーションを図るときにとても役に立っています。

 

当時はなんで韓国に来たのに中国語の試験を受けなければならないのだろうと、嫌々勉強していたのですが、今になって役に立っているので、本当に無駄だと思うことが後々役に立つことがあるんだなあと思いながら生きています。

Q.これからの日本語教育業界について、どのようにお考えですか。

日本語教育業界は、あまり大きな変化はないだろうと思います。 例えば、中国から大勢の学習者が来ているという現状がありますが、今では中国の経済成長もめざましいので、今後は日本企業よりも中国の有名企業に勤めたほうが給料が良いという場合が増えていくと思います。

 

他のアジア圏の国々についても同じようなことが言えるわけですので、日本にくる留学生が急増するようなことは起こらないと思います。 かと言って減るのかと言えば、そんなに激減することもないとも思います。

 

何故かと言えば、日本の上位大学はアジアの国の人たちにも知られていますので、有名校での留学経験があると、経歴に箔が付くと言いますか、本国に戻った際にプラスに作用することが多いです。 特にアジア圏では、日本での学歴は年収アップや採用されやすいといった効果をもたらしていますので、激減することもないでしょう。 あと自分自身のことですが、日本語教師として日々成長したいと思っているので、日本の文化とか歴史を学んでいきたいと考えています。

 

最終的には、「日本語を伝える」「文法を伝える」ということよりも「日本を伝える」というスタンスで教壇に立ちたいです。 それは何も大昔の話だけではなく、例えば日本が1960年代にめざましい発展を遂げたのは、実はこんな努力があったからだ」とか、日本の経済発展やビジネスについても語ったり、日本の音楽についてとかも語れるようになったらいいなと思っております。

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日本語教師スタイルマガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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