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日本語教育トピックス

byマガジン編集部 マガジン編集部

公認日本語教師

ご存知の方も多いかと思いますが、日本語教師を国家資格にするという動きがあります。ただ、詳細には変動があり、まだ具体的な開始日や内容は決まっていません(2021年4月現在)。今回の記事では、国家資格としての日本語教師とはどんな資格なのか、メリットやデメリットはあるのか、試験や研修はどんなものかについて、現在分かっていることをまとめました。

公認日本語教師とはどんな資格か

これまで日本語教師には、必須の免許や資格はありませんでしたが、文化庁を中心に国家資格化する動きがあります。国家資格になった場合の名称が「公認日本語教師」です2024年以降に施行予定とされています。   この背景として、日本に在留する外国人や日本語学習者の数が年々増加していることが挙げられます。日本語教育への需要が高まっており、日本語教師の量を確保する必要があります。また、日本語教師の質の向上と均一化も求められています。現状、日本語教師になるには複数のパターンがあり、一口に日本語教師と言っても、専門的な知識や実践力にバラつきがあります。このバラつきを解消するために、特定の基準が設けられようとしています。   現在は、以下の条件のいずれかを満たせば、日本語教師として働くことが可能です。   ①日本語教育能力検定試験の合格 ②420時間の日本語教師養成講座の修了 ③大学または大学院での日本語教育主専攻修了   公認日本語教師の制度が施行されるようになると、これらとは別の新しい要件が課せられることになります。

メリット

日本語教師側と学習者側、双方にメリットがあると考えられます。 まず、教師側のメリットは、民間資格から国家資格へと格上げされることで、待遇の向上が期待できる点です。残念ながら、日本語教師の給与や業務内容などを見てみると、待遇の良い仕事とは言い切れないのが現状です。しかし、日本語教師という職業の知名度が向上し、より専門的な仕事となることで、世間からも注目を浴びやすくなります。これにより、日本語教師の価値や待遇の見直しにも繋がりやすくなるのではないでしょうか。 次に、学習者側のメリットは、専門的な知識と技術を持った教師から指導を受けられる点です。日本に来る外国籍の方々は増加し、日本語を学ぶ目的も多様化してきています。特に、技能実習生や特定技能ビザの制度をはじめ、仕事や生活のための日本語が求められることも多くなってきています。しかし、現在の大学の日本語教師養成課程や民間の日本語教師養成講座では、シラバスの内容や教育実習の機会などにバラつきがあり、教師の質は必ずしも一定とは言えません。そのため、公認日本語教師の制度により、一定の基準を満たした質の高い教師が輩出されることが期待されています。

デメリット

詳細は後述しますが、日本語教師の資格の取得要件が現行よりも厳しいものになります。ただし、公認日本語教師の制度の施行前に取った資格は、無効になることはないようですので、ご安心ください。今何も資格を持っておらず、制度施行後に日本語教師をめざす方は、学歴や所定の試験・教育実習などが求められる可能性があります。

公認日本語教師になるためには

文化庁を中心に、公認日本語教師の制度をめぐる議論が重ねられています。資格取得のための要件は、具体的にどのようなものになるのか、これまでの議論の変遷と現在分かっていることをまとめたいと思います。

2020年3月時点の案

2020年3月に公認日本語教師の制度に関する報告書がまとめられました。報告書によると、判定試験に合格すること、教育実習を修了すること、学士以上の学歴を持つことの3つの要件が設けられるとのことです。   ①試験の合格(内容は未定) 報告書には「試験の内容のほか、試験の方法について今後検討する必要がある」という記載があり、詳細は未定でした。「必須の教育内容」と言われる内容に基づいた試験になるようです。この必須の教育内容とは、「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」に示された項目で、「社会・文化・地域」「言語と社会」「言語と心理」「言語と教育」「言語」の5分野に関する知識です。   参考:文化庁「日本語教育人材の養成・研修の在り方について(報告)」 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1401908.html   ②教育実習の修了 大学の日本語教師養成課程(主専攻45単位、副専攻26単位以上)の場合は1単位以上、養成講座の場合は45単位時間以上の教育実習が課されます。教育実習の時間数には最低基準があり、1コマ45分以上とされています。   ③学士以上の学歴 多様な国籍、背景、ニーズを持つ学習者と向き合うため、また、留学生の大半が大学等の高等教育機関への進学を希望することから、日本語教師も学士(大学卒業)以上の学位を有することが適当と考えられています。   上記の他に、公認日本語教師の資格の有効期限を10年とするという案が出ました。有効期限が切れる前に、更新講習を受講することが義務づけられます。また、すでに日本語教師の資格を持つ方には「経過措置」が適用され、要件を満たす者として、十分な移行期間を設け、公認日本語教師として登録を行えるようにすることが適当ということになりました。   参考:文化審議会国語分科会「日本語教師の資格の在り方について(報告)」 http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/3-_shikakunoarikata.pdf

2020年10月時点の懸念点

2020年10月21日に開かれた日本語教育推進議員連盟第13回総会にて、法律整備と日本語教師の定義の2点から、公認日本語教師の制度に関する難点が示されました。 ・「日本語教育の質担保や対外的な公証性」を目的とするならば、個人や団体等を法律以外の告示などにより国が認証する制度を創設すること等による担保も可能であり、国家資格の創設という手段を取る必要性を法制的に説明することが難しい。 ・日本語教師の要件を強化するのであれば、既存の法務省告示日本語教育機関の教員要件を引き上げることで措置ができる。 ・日本語教師の業の範囲が曖昧。日本語教師が教えるプログラムの内容と、教育責任主体たる日本語教育機関を定義するのが先であり、教師という要件だけに着目する理由が乏しい。 国家資格として整備せずとも、教員の要件を引き上げたり、教育機関自体を国が認証したりすることで代替できるのではないかという意見が出ました。 参考:「日本語教師の資格創設及び日本語教育機関の類型化に関する検討状況」 http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/10/1_bunkacho.pdf

2021年3月時点の案

2021年3月23日に改定案が発表されました。以前の案では学士以上の学歴が必要でしたが、学歴は不問となった点が大きな変更です。中卒・高卒・専門学校卒でも公認日本語教師になれるということです。また、筆記試験が2パターンとなったのも前回からの変更点です。「区分ごとの基礎的な知識・技能の測定」のための筆記試験①と、「区分横断的な複合問題および聴解試験」のための筆記試験②です。   改定案では、公認日本語教師になるためには3通りのルートがあることになっています。 ①大学で日本語教育専攻→筆記試験②に合格(①は免除)→公認日本語教師登録 ②420時間の日本語教師養成講座修了→筆記試験②に合格(①は免除)→公認日本語教師登録 ③筆記試験①と②に合格→所定の教育実習修了→公認日本語教師登録   ①と②のルートのように、大学で日本語を専攻したり養成講座を修了したりしている場合は、2つ目の筆記試験と教育実習が免除されます。ルート③のように新たに日本語教師をめざす方は、2つの筆記試験と教育実習を受けることが必須となります。   参考:文化庁「公認日本語教師の資格のイメージ(案)」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/92895901_01.pdf

まとめ

以上、日本語教師の国家資格化をめぐる動きについて見てきました。 現在日本語教師として勤務されている方が突然資格を剥奪される可能性は低いですし、まだ不確かな部分が多い制度ですので、これから日本語教師をめざすという方も、焦りからセミナーや講座にお金をかけるのは時期尚早かと思います。養成講座の修了や日本語教育能力検定試験への合格、経験の蓄積など、今確実にできることに取り組むのがベストではないでしょうか。

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マガジン編集部

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この記事を監修した人

「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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