就職面接の際の模擬授業

日本語教師の採用面接では、模擬授業も行われることがほとんどです。日本語教師として必要な知識があるか、学習者の質問に対応できるか、板書や教材は適切かなどを確認するためです。どのような流れでどのような内容なのか、どこで対策ができるのか、見ていきたいと思います。

目次

採用面接とセットの模擬授業

採用面接時に、10~20分程度の模擬授業が課されます。その場で文型や場面設定が与えられて、即興的に行わなければならないこともありますが、事前に文型が指定され、教案提出を求められるというパターンが多いです。扱う文型は『みんなの日本語Ⅰ』の初級文型が多く、面接官の教師が学習者役をします。

 

よく扱われる文型は、て形の導入(14課)、た形の導入(19課)、連体修飾(22課)、授受表現「~てもらいます/~てくれます/~てあげます」(24課)、仮定条件「~たら」「~ても」(25課)などです。

模擬授業対策ができる養成講座

実際に模擬授業を行い、講師からのフィードバックをもらうことができる養成講座を紹介します。通信講座やe-learningを利用して、短期間かつ手軽に日本語教師の資格を取ることもできますが、面接時の模擬授業対策や実際の授業をイメージするために、実技のある講座を受けるのがおすすめです。

東京中央日本語学院(TCJ)

420時間コースでは、理論と実技をバランスよく5:5の割合で学ぶことができます。自分の順番がきたときには、模擬授業とそのフィードバックで40分程度使うことができます。模擬授業のチャンスはコースを通じて10回以上あります。

また、教室には教壇、ホワイトボード、TVモニターが用意されていて、本番と同一環境で練習することが可能です。講師のレクチャーだけではなく、クラスメートとも協力し合い、何度も何度も実習を重ねることで確かな実践力を養えます。コースの最後には、附属のTCJ日本語学校の留学生を相手にした教育実習もあります。

 

ブランクがある方や、実践力に今ひとつ自信が持てないという方には、実技の部分だけを学べる「実技単科コース」もあります。

 

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間コース 566,500円(税込) 週に1~4回通学 半年~1年
実技単科コース 286,000円(税込) 週に1~4回通学 半年~1年

 

https://xn--euts3n8lg6bk91h.jp.net/all_course/420_course/

https://xn--euts3n8lg6bk91h.jp.net/all_course/practice/

KCP日本語教師養成講座

420時間少人数コースは、日本語教育の関連知識を学ぶ「基礎理論プレゼミ」、基礎理論から実践への橋渡しとして、初級・中級・上級のレベル別に授業トレーニングを行う「模擬授業実践ラボ」、総仕上げの「教壇実習」の3段階のカリキュラムで構成されます。教案をマニュアル化するのではなく、教案作成と模擬授業で試行錯誤を繰り返す中で、授業を組み立てるノウハウの習得をめざします。

 

420時間のコースとは別に「就職直前対策」用の3つのコースがあります。

 

①教案講座…採用試験での模擬授業対策や、教授経験の浅い方のブラッシュアップに役立ちます。初級・中級・上級の各レベルで必要とされる技術をピンポイントで習得することができます。

②模擬授業実践ラボ…初級から上級までの各レベルの教え方を学びたい方におすすめです。まず各レベルの授業を見学し、学習者の課題や目標、たどる過程の違いを理解するところから始めます。

③教壇実習(日本語学校インターン)…より実践力を高めたい方向けです。授業の進め方だけでなく、クラスの運営や日本語学校での業務の流れ、教師の果たすべき役割についても学ぶことができます。

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間少人数実践コース 546,000円+入学金21,000円 6ヶ月
教案講座 77,000円(総額) 全6回(90分×2)+授業見学1回 1.5ヶ月 
模擬授業実践ラボ 180,000円(総額) 全25回(90分×2)+授業見学3回 5ヶ月
教壇実習 110,000円(総額) 1ヶ月

https://www.kcpyosei.com/course/sogo

https://www.kcpyosei.com/course/brushup

ヒューマンアカデミー

420時間コースでは、インプット(理論)とアウトプット(実習)の比率が4:6でカリキュラムが組まれているため、理論の定着を実践力の習得の両方を効率よく確実にめざすことができます。また、養成講座運営30年以上の実績と、国内外で経営する日本語学校で培われたノウハウ、独自のネットワークにより、最新の企業ニーズや業界動向などをいち早く知ることができます。

 

教育実習プログラムを単発で受講することも可能です。専任教師の授業以外の仕事や教務の学生対応、学校行事など、日本語教師の仕事を総合的に体験するためのコースです。「実習A:1週間コース」では、実際の教育現場を見学することができます。「実習B:2週間コース」では、実習に加えて、各2時間程度の事前・事後研修があります。授業以外の仕事を見学できることが他の講座とは異なる点で、日本語教師のリアルな仕事を知ることができます。

 

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間コース 495,000円+入学金

33,000円(税込)

180分×109回 1年
実習A 22,000円 1週間
実習B 44,000円 2週間

 

https://haa.athuman.com/academy/japanese/?code=041039

https://hajl.athuman.com/course/teaching.php

赤門会日本語教師養成講座

420時間コースの中に60時間(初級の実習クラス30時間・中上級の実習クラス30時間)の実習が含まれています。グループ校である赤門会日本語学校の留学生クラスで、授業見学と教壇実習を行います。教壇実習前には模擬授業の機会があるので、しっかりと準備をすることができます。

 

また、赤門会にしかないのが30時間の選択科目です。言語の多様性を知る「外国語入門」(韓国語、タイ語など)や、日本語との違いを分析する「対照言語学」、介護の日本語など、日本語学習の多様化をふまえた科目が用意されています。赤門会日本語学校のクラブ活動である「日本語会話クラブ」において、留学生と交流しながら、学習者の発話を引き出すトレーニングをする実践的な科目もあります。

 

日本語教育能力検定試験に合格した方、通信教育などを履修した方は、単発で教育実習をすることもできます。事前指導からビデオチェックによる自己分析、レポート提出まで網羅されていて、実践的な内容となっています。

 

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間総合コース 506,000円+入学金

22,000円(税込)

180分×109回 6ヶ月~1年
教育実習1回コース 55,000円(税込) 1回
教育実習2回コース 84,700円(税込) 2回
教育実習3回コース 112,200円(税込) 3回

 

https://www.akamonkai.ac.jp/yousei/course/420H_course.html

https://www.akamonkai.ac.jp/yousei/course/jissyu_course.html

アークアカデミー

講座の時間は業界でも平均以上の480時間(単位)以上です。理論192時間、実技156時間、実習134時間と全分野をバランスよく学ぶことができ、日本語教師に必要な知識と実践力を養います。教育実習では、初級・中級各レベルにつき1人1コマ(45分)使えるので、実際の日本語学校の授業の長さで教壇に立つことができます。1コマ分の授業をやりきることで、授業実践力と学習者対応力を磨きます。また、併設の日本語学校で、授業見学をしたり現役日本語講師と交流したりする機会もあります。

 

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間総合コース 530,000円(税込) 平日3時間×週5日 6ヶ月

 

https://yousei.arc-academy.net/sougou/

KEC日本語学院

授業が12名制の少人数制である点が特徴です。そのため、実践演習や教育実習では、全員が毎回の授業で模擬授業を行い、講師からひとりひとりに教案のチェックやアドバイスをもらえます。コースを通じて、50回~75回の模擬授業を行うことができます。初級では『みんなの日本語』を用いて文型の導入から活動まで、中級では『中級から学ぶ日本語』を用いて読解、聴解、作文等、そしてJLPT N1レベルに相当する上級の指導法を練習します。

 

実習の科目は単発で受講することも可能です。「実践演習コース」では、初級から上級までの指導技術を学び、「教育実習コース」では、外国籍の学生を相手に実際の授業を行います。

 

コース・講座名 授業料 回数・頻度 修了までの所要期間
420時間コース 544,830円(税込) 6ヶ月~3年
実践演習コース 261,800円(税込)
教育実習コース 103,950円(税込)

 

https://www.jpns.kec.ne.jp/course420.html

https://www.jpns.kec.ne.jp/jyugyouryou.html

まとめ

各養成講座の実習科目や概要について見てきました。養成講座への通学や実習のみの練習を検討中の方の参考になればと思います。講座によって、通学と通信を組み合わせたり、通学の曜日や頻度を調整できたりするので、是非自分に合った講座を見つけてください。

なお、教案チェックや模擬授業対策は、bun.style株式会社でも行っております。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください!

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