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日本語教育トピックス

by日本語教師スタイルマガジン編集部 日本語教師スタイルマガジン編集部

JICA(国際協力機構)の日本語教育への取り組み

国際交流や海外生活に興味があり、JICAのボランティアや取り組みについて調べてみたことがあるという方は多いと思います。幅広い分野で事業を展開しているJICAですが、今回は日本語教育にスポットを当てて、国内外での日本語教育関連事業についてチェックしていこうと思います。

 

JICAとは

独立行政法人国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う外務省管轄の独立行政法人として、2003年に設立されました。すべての人が生命や生活を脅かされることなく、尊厳を持って生きられる社会を目指し、教育、保健医療、農業、環境保全など多角的な分野で、150の国と地域で国際協力事業を行っています。海外拠点は96ヶ所、国内拠点は14ヶ所あります(2020年7月1日時点)。

 

専門家や海外協力隊を途上国へ派遣するとともに、途上国からも行政官や技術者などの研修員や留学生を日本に受入れ、人材育成を通じた人と人とのつながりで信頼関係を築いています。

 

JICAを通じて日本語教育に関わるには、派遣プログラムである海外協力隊と求人サイト「PARTNER」の利用があります。それぞれの詳細を次の項から詳しく見ていきましょう!

 

参考:独立行政法人国際協力機構「JICAについて」

https://www.jica.go.jp/about/index.html

 

海外協力隊

開発途上国からの要請に基づき、それに見合った技術・知識・経験・意欲を持った方を募集し、選考と訓練を経て派遣するJICAの事業です。

 

海外協力隊の主な目的は、以下の3つです。

(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与

(2)異文化社会における相互理解の深化と共生

(3)ボランティア経験の社会還元

 

応募できるのは20~69歳の日本国籍を持つ方です。募集期間は年2回(春・秋)、活動分野は農林水産、保健衛生、教育文化、スポーツ、計画・行政など多岐にわたります。派遣期間は原則2年間ですが、中には1年のものもあります。また、1ヶ月から参加できる短期派遣制度もあります。長期派遣の場合は配偶者や子どもを現地に呼ぶこともできますが(後述)、隊員は単身で派遣されます。

 

海外協力隊の案件は、プログラムの名称に「青年」や「シニア」といった用語が使われていますが、単純に年齢で分けられているわけではありません。必要とされる資格や実務経験によって区別されています。次の項からは、それぞれの要件や任務の違いについて見ていきます。

 

参考:

JICA海外協力隊ウェブサイト

https://www.jica.go.jp/volunteer/index.html

JICA海外協力隊ホーム>募集情報>JICA海外協力隊の種類

https://www.jica.go.jp/volunteer/application/type/index.html

 

一般案件

一般案件は幅広い経験・技能等で応募可能な案件です。一般案件で派遣される隊員を、20歳から45歳までは「青年海外協力隊/日系社会青年海外協力隊」、46歳から69歳までは「海外協力隊/日系社会海外協力隊」と呼びます。20歳から45歳が対象の青年海外協力隊は、事業発足から50年以上という長い歴史を持ち、これまで延べ4万人を超える方々が参加しています。

 

日本語教育案件の派遣先は、主に、インドネシア、モンゴル、インドといったアジア諸国とコロンビアやブラジルといった南米が多い印象です(2021年度春募集時点)。現地の公的教育機関や日本語学校で日本語の授業を行うことを任務としており、ほとんどの案件で日本語教育に関する資格と2~3年以上の実務経験が必須です。また、現地語や英語などの語学力も必要です。その他にも案件ごとに学歴などの細かい要件がありますので、ウェブサイトの募集要項でよく確認されることをおすすめします。

 

参考:JICA海外協力隊ホーム>募集情報(一般案件)>長期>シゴトを探す>日本語教育

http://www.jocv-info.jica.go.jp/jv/index.php?m=List&jID=G157&n=y&period=2021%7C%E6%98%A5

 

シニア案件

シニア案件にも20歳~69歳が応募可能ですが、一定以上の経験・技能等が求められます。例えば、教員や看護師といった資格や15年以上の実務経験をなど、一般案件よりも厳しい要件となります。シニア案件で派遣される隊員は、「シニア海外協力隊/日系社会シニア海外協力隊」と呼ばれます。特に40歳から69歳はいわゆる「シニアボランティア」に当たります。

 

2021年の春募集では、ネパールとトンガへの案件がありました。日本語授業の実施や学習者の指導が中心となる一般案件とは異なり、シニア案件の任務は、現地の日本語教員の指導やシラバス・教科書の改訂、試験作成といったハイレベルなものです。そのため、大学院卒業以上の学歴や15年以上の実務経験が必要です。また、一般案件と同じく、現地語や英語などの語学力も必要です。

 

参考:JICA海外協力隊ホーム>募集情報(シニア案件)>長期>シゴトを探す>日本語教育

http://www.jocv-info.jica.go.jp/sv/index.php?m=List&jID=G157&n=y&period=2021%7C%E6%98%A5

 

待遇

一般案件とシニア派遣の長期派遣の待遇は共通の内容で、以下のとおりです。

 

・現地の住民と同等程度の生活を営むにための生活費(1ヶ月あたり32,000円~83,000円程度、国によって異なる)

・ルームシェアやホームステイを含む現物支給の住居

・日本と現地との往復にかかる赴帰任時の旅費(航空賃・交通費・日当・宿泊費等)

・有給休暇、一時帰国制度

・予算的な問題で効果的な活動が期待できない場合、JICAからの活動経費支援

・JICAの旅費補助(一部は自己負担)による配偶者および子女の一時呼び寄せ制度

・無給休職または無職の方(65歳未満)を対象とした派遣前の国内手当

・国民年金への加入

・雇用保険の受給期間の延長可能

 

参考:JICA海外協力隊ホーム>募集情報>一般案件>JICAの支援制度>待遇と諸制度【一般案件】(派遣期間:1年~2年)

https://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/support_system/treatment/index.html

 

健康診断

一般案件とシニア案件のいずれも、応募時に問診票と健康診断書を提出しなければなりません。日本とは生活環境や医療事情が大きく異なる開発途上国に、長期間生活の場が移るという特殊性を考慮して選考が行われるためです。BMIや血液検査、尿検査といった一般的な健康基準値を満たす必要がありますので、JICAでの派遣を考えていらっしゃる方は、普段の健康管理についても留意してください。資格や実務経験といった要件を満たしていても、健康診断で引っかかってしまう方も少なくないので、意外な落とし穴と言えます。

 

応募から派遣までの流れ

2021年度春募集のスケジュールは以下のとおりです。

 

5月~6月:応募

・【ウェブ入力】2021年5月20日(木)~2021年6月30日(水)日本時間正午締切

・【郵送(問診票・健康診断書)】2021年6月30日(水)必着

7月~8月:一次選考(書類審査)

・健康審査、語学力審査、技術審査(応募者の技術と現地ニーズの適合性)

・応募者用マイページにて、合否結果を通知

9月:二次選考

・ウェブ面接(予定)

10月:二次選考合否通知

・応募者用マイページにて、合否結果を通知

 

合格後は、45~70日程度の派遣前研修を受けることになります。研修場所はJICA二本松(福島県)またはJICA駒ヶ根(長野県)のいずれかで、受入国別にJICAによって指定されます。合宿形式で派遣先の現地語や任務遂行に必要な技能を学びます。2021年度春募集の合格者の場合は、開催時期が3パターン(1次隊:2022年4月上旬~、2次隊:2022年9月上旬~、3次隊:2023年1月上旬~)用意されており、そのどれかに全日程参加することが義務付けられています。

 

以上、簡単にスケジュールを確認しましたが、応募から研修完了、派遣まで1年を越えることになります。計画的に渡航準備と健康管理を行うことを心掛けたいものです。

 

参考:JICA海外協力隊ホーム>募集情報>一般案件>応募から選考までのスケジュール【一般案件】

https://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/process/index.html

 

国際キャリア総合情報サイト「PARTNER」

PARTNERは、国境を越えて活躍したい人とそのような人材を求める企業・団体を結び付けることを目的に、JICAが運営・管理する求人サイトです。「オールジャパンの国際協力活動促進」という理念のもと、JICAの情報のみならず、国際機関、開発コンサルティング企業、国際協力NGO/NPO、国際協力関連機関、政府機関・地方自治体、大学、民間企業など、幅広い実施主体の国際協力関連情報を、一元的に発信しています。そのため、掲載の求人も、日本語教育に限らず、政府の公募案件や国際事業を行う企業など様々です。

 

すでに海外協力隊をはじめとした国際キャリアを持っている方から、「海外で働くことに興味があるけど、何から始めたらいいか分からない」という方まで幅広くサポートするサイトです。2020年4~9月の求人掲載数は1,133件でした。

 

参考:PARTNERウェブサイト

https://partner.jica.go.jp/PartnerHome

 

日本センター

JICAは海外に「日本人材開発センター(通称:日本センター)」という施設を設置しています。海外協力隊の案件の派遣先になっている場合もあります。市場経済移行国における「顔の見える援助」として、またビジネス人材育成と日本との人脈形成の拠点として構想され、2000年より順次開設されました。現在はアジアの9ヶ国(カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、モンゴル、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、ウクライナ)に10センターが設置されています。

 

各国の日本センターでは、1.ビジネスコース、2.日本語コース、3.相互理解促進事業の3つを活動の柱としています。また、一般市民に対する情報サービス(図書、視聴覚機材、インターネット)を通じて、日本に関する情報の発信や、日本へ向けた現地情報の発信を行っています。

 

1.ビジネスコースについて

各国の民間部門のビジネスパーソン、起業家や、若手行政官、学生などをターゲットに、経営管理、生産管理、マーケティング、ITなどの分野で、日本の強みを生かした実用的なセミナー、ワークショップ、現場指導などを提供しています。出張講座や個々の企業のニーズに沿ったカスタマイズコースを提供しているセンターもあります。日本国内においても、大学や地方自治体と提携し、日本企業向けセミナー、インターンシップ、交流会等を開催し、日本企業と現地企業との交流を支援しています。

2.日本語コースについて

国際交流基金日本と共同で日本語講座が開催されており、初級レベルから上級レベルまでの日本語を学ぶことができます。受講生は、日系企業に就職したり、日本との関わりを持ったりするために学んでいます。この日本語講座を通じて、受講生と日本の大学生との交流会が開かれ、日本の大学などとの接点も増えてきています。また、日本企業の現地職員の日本語教育の場としても活用されています。

 

3.相互理解促進事業について

センター設置国と日本の人々とがお互い理解し合うことを目指した活動を展開しています。具体的には、それぞれの国の文化や伝統行事を双方向で紹介するイベントを開催するなどして、交流の機会を提供しています。日本文化のイベントとしては、カラオケ大会や和太鼓発表会、着物ショーなどが開催されています。また、両国に関する情報の集積と発信にも力を入れていて、例えば、現地に向けて最新の日本事情や留学情報等の情報を発信したり、逆に日本に向けて現地の様子やセンターでの活動を発信したりしています。

 

日本側の大学や外国人受入企業として、この日本センターに関わる方もいらっしゃるかもしれません。

 

参考:独立行政法人国際協力機構「日本センター」

https://www.jica.go.jp/japancenter/index.html

 

 

 

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「言葉を教え、文化を広げ、異文化に橋を架けよう」というサービス理念のもと、国内・海外に日本語教育を展開している会社です。日本語を学び、日本語を使い、日本語でつながり、夢を実現するまでの教育を行っています。

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