日本人向け教育現場との比較

みなさんこんにちは! 今回は、日本語教育について、日本人向けの教育現場と比較しながら考えてみます。 「どちらも日本語を使うなら、それほど違いはないんじゃない?」と思っていませんか?実は日本語教育の現場では、文化や考え方の違いによって学生同士が衝突してしまうなど、特有の問題もあります。

この記事では、日本人向けの教育現場と日本語学習者向けの教育現場を、まずそれぞれどのような特徴があるか整理します。そして、両者の違いを紹介して、課題となっていることから、今後求められる日本語教師像について解説します。

目次

日本人向け教育現場

みなさんが想像するような、一般的な日本の小学校~高等学校では、教員免許を持っている教師が、日本語を使って対面式で授業をします。

また、中学校までは義務教育とされており、全国で同じく教育を受けます。その後進学する高等学校によっては大学受験のための学習がメインになっている学校もあります。中学・高校までは、ほぼ自動的に入学し、義務教育を受けるので、明確な目的がなくなんとなく学校に通う人も多いでしょう。

そこでは、日本で生まれ育った、おおむね同じ価値観の人たちが集まり共に学習しています。

しかし、最近は首都圏に限らず、外国人児童も増えてきています。両親が仕事の関係で来日し、一緒に日本に来た子供が小学校に通う場合など、日本人向けの学校教育の現場にも、日本語指導を必要とする人たちが存在することも忘れてはいけません。

日本語教育の現場

一方、日本語学校などの日本語教育機関ではどうでしょうか。日本語学校を例にしてみます。基本的には、日本語教師が、日本の学校と同じように集団に対して授業をします。しかし、授業をするときに使う言葉は、どうでしょうか?よく「日本語を教えているってことは英語ができるの?」と質問されますが、 日本国内の日本語教師の多くは、日本語で授業をしています

直接法と間接法

教え方には、日本語で日本語を教える「直接法」と、手の母語や分かる言語(媒介語)を使って日本語を教える「間接法」があります。初級から直接法を用いて日本語を教える学校もあれば、学習者の出身国が限られている場合は、母語を媒介語として使用するという学校もあります。

どんな人が日本語を勉強している?

次に、学習者の属性です。自分の国の高校を卒業して日本の大学に通うために、まず日本語学校に通うという人や、仕事で日本語を使うので勉強したいという人などがいます。 主な学習の目的は、日本に留学している人だと、日本語能力試験(JLPT)に合格する、ビジネスで日本語を使用するなどのはっきりとした目標がある人が多い印象です。

逆に、自分の国で日本語教育を受けている人は、日本に旅行するときのために会話メインで勉強したい人や、退職後に趣味でのんびり学びたい人などさまざまです。もちろん留学準備のために自国でしっかり勉強をする人もいます。

授業環境は?

日本語を学ぶ場所は、日本国内の日本語学校の場合もあれば、海外の各種学校のほか、オンラインでどこでも授業が受けられる場合もあります。

個人に合わせた指導ができるマンツーマン指導の場合、授業料は高くなりがちですが、自分に合っていれば上達が早い方法です。 また、集団授業の場合は、様々な国籍のクラスメイトと一緒に同じ教育を受ける可能性もあり、多様性にあふれた学習環境といえます。

日本人向け教育現場と日本語教育現場の違いと課題

日本人向け教育現場では、日本国内で似た価値観の人と一緒に教育を受けますが、日本語教育の現場では、異なる文化をもつクラスメイトと一緒に、試験合格など同じ目標に向かって授業を受けます

このように、日本語教育現場では、比較的目的や目標を持っている人が多いようです。

日本語教育現場での課題

いろいろなバックグラウンドの人がいるので、クラスメイト同士で、常識や価値観の違いで衝突することもあります。

例えば、国と国の関係が難しい学習者同士の仲が悪く、教室全体がピリピリした空気になってしまうこともあり、日本語教育の現場ならではの課題と言えます。

また、日本国内に移住して学校等に通う場合は、住むところや生活での手続きなどの生活環境の問題もあります。日本語教師は、そういった学生の生活指導もしなくてはならない場合もあります。一人で問題を抱え込み、学校や日本になじめなく精神を病んでしまう人もいます。

こうしたカウンセリングを必要とする学生がいる点は、日本人向けの教育現場と同様の課題です。 さらに、両者に共通することは、教育におけるICTの活用が求められている点や、教師の生活・進路指導の負担です。

日本はICT教育が外国に比べて遅れています。教育環境を整備し、学生の教育格差を解消していく必要があります。

日本語教育の現場で教師ができること

授業の質を向上させることや、教材を工夫することも大切ですが、まずはそれぞれの国籍の学生の文化や言語について理解を深める努力をしましょう。学習者の気持ちを理解するために、「自分が全く知らない言語を初めて学ぶ」という体験を一度してみるといいかもしれません。

ICT教育について

また、これからは日本語教師もICTの活用について学び、教育に積極的に取り入れていく必要があります。スマートフォンやPCで授業の連絡をして、宿題提出の管理を行うなど活用すれば、教師の仕事の効率化も期待されるでしょう。

そうすれば、教案作成などの授業準備に充てられる時間にもゆとりができます。そういった意味でも、ICTの活用は期待されるべきものです。

おわりにー日本人向け教育現場と比較してみてー

今回はざっくりと「日本人向け教育現場」「日本語学習者向け教育現場」という視点で、教育について見てみました。 やはり、日本語教育の場合は、文化や価値観が原因となって生じる問題があるなど、日本人向けの教育現場とは質の違う課題がありました。

一方で、ICT教育についてなど双方に通じる課題もあります。 今後は、さらに教育現場の変化に柔軟に対応できる日本語教師が求められてくるでしょう。また、ICTに限らず、常に新しいものや知らないことにアンテナを張り、挑戦していく姿勢が必要になってきます。

これは、日本語教師に限らず、どの教育現場にも当てはまることでしょう。 この記事がこれからの日本語教育における課題について考えるきっかけとなれば嬉しいです。あなたはこれからどんな日本語教師になりたいですか?

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