授業の活動やプライベートレッスン、フリートークの会話練習など、トピックを探さなければならない場面は多々あると思います。
どんな話題が盛り上がるのか、インターネット上の情報と筆者の経験を交えて見ていきたいと思います。
日本独自の文化に関する話題
コンビニ
日本で気に入った場所、よく行く場所、便利な場所として名前が挙がるのがコンビニです。
海外にもコンビニはありますが、軽食やスナックしか売っていなかったり、そもそも24時間営業ではなかったりします。
それに対して、日本のコンビニはいつでも利用できるうえ、弁当や総菜パン、スイーツなどの商品も種類が豊富でおいしいと高評価を得ています。
ATMやコピー機も設置されているので、コンビニでたいていの用事を済ますことができます。
最近はコンビニで働いている外国の方も多いので、利用者側だけでなく、労働者側からの意見を聞くこともできます。
日本人にはお馴染みの場所ですが、海外の方の意見や経験を聞くことで、改めて新しい発見があり、日本人にとってもおもしろいトピックと言えるのではないでしょうか。
日本語には「コンビニ」のような略語がたくさんありますが、略語の紹介も盛り上がる印象です。
特に英語圏出身者や英語が分かる学習者にとっては、英単語の略し方や日本のカタカナ発音が新鮮でおもしろいようです。
お酒事情
日本人がお花見や路上でお酒を飲み、酔っぱらっている姿にびっくりしたという外国の方が多いです。
日本の会社で働く方にとっては、日本独自の飲み会文化も興味深いようです。
飲み会には、上座・下座のような座席のルールや食事の作法なども関係してきますので、さらに話題が広がります。
キリスト教やイスラム教により、お酒の持ち込みや野外での飲酒が禁止されている国・地域があったり、国によって飲酒の最低年齢が違ったりするため、各国のお酒事情について話し合うのも文化の勉強になります。
日本のお酒事情に加え「酔う」「酔っぱらい」といったお酒に関する語彙の使い方に関する質問もよく受けます。
オノマトペ
日本語のオノマトペは4,000~5,000語あり、それだけで1冊の辞書が作れるほどです。
自然現象や動物の鳴き声など、オノマトペのうちの擬音語は、多くの言語で対応する言葉が存在します。
例えば、犬の鳴き声は、以下のように表現されます。
日本語
「ワンワン」
英語
「bowwow(バウワウ)」
ロシア語
「gaf gaf(ガフガフ)」
韓国語
「멍멍(モンモン)」
フランス語
「ouah ouah(ウワウワ)」
一方、擬態語は物事の状態や心の動きを表す言葉なので、すべての言語に対応する言葉が存在するとは限りません。
しかし、日本語には多様な擬態語があります。
学習者の母語と比較したり、擬態語を使った感情表現などを紹介すると、学習者の表現の幅がぐっと広がります。
ひとつのオノマトペでも、使用場面によって意味が異なるものがあります。
例えば「どんどん」には、以下の2つの意味があります。
物事が進行する様子
例:留学生がどんどん増えている
物を激しく叩く様子
例:ドアをドンドン叩く
このようなオノマトペを探す活動も、おもしろいのではないでしょうか。
日常生活に即した話題
電車
日本独特の満員電車や電車内のマナーもよく話題にあがります。
日本にも車中心の生活を送る地域があったり、公共交通機関を利用する習慣があまりない地域があったりするように、海外も電車に馴染みがない地域はたくさんあります。
そのため、電車が時刻通りに走っていることや複雑な路線図、満員電車の光景に驚く学習者が多いです。
以下のような内容は、需要が高いです。
・電車の乗り方(路線図の見方や切符の買い方)
・マナーに関する語彙(お年寄り、妊婦、優先席など)
・電車内のアナウンス
料理・食材
料理や食材の語彙・漢字に関しては、日常生活で必要なものとしてよくリクエストがあります。
野菜・果物・肉・魚といった材料のことばから、調理器具の名称や調理方法の動詞まで、勉強したいという方が多いです。
ベジタリアンや宗教の観点から、食べられる食材と食べられない食材をスーパーやコンビニで判断できるようになる必要がある方もいます。
当サイトの「私の流儀」のインタビューを引き受けてくださった日本語教師からも、以下のようなお話がありました。
『ムスリムの食事の言葉』ということで、食べられるものと食べられないものを教えました。例えば、みりんはアルコールなのでダメ、あとは菓子パンやチョコレートなどに入っている乳化剤も豚由来なので気を付けたほうがいいという内容のレッスンをしたら、すごく好評でした。
また、東京には各国の食材に特化したスーパーが点在しています。
例えば、韓国やインド、イスラエルは大久保、ブラジルやメキシコは五反田に専門のスーパーがあると学習者から聞きました。
自国の食材が手に入る場所やそれを使った料理について紹介してもらうのもおもしろいと思います。
その他のトピック
その他、会話練習のトピックとして、インターネット上では以下のようなものが見られました。
・ごみの分別・リサイクル
・子育てや家事の分担
・誕生日、ハロウィーン、クリスマスといったイベントの過ごし方
・自分の名前の由来、人気の名前
・色に関するイメージ、国による色の使われ方の違い(国旗、慶弔など)
・よく使う/好きなSNS
・今までで一番よかった旅行
・日本語学習のきっかけ、学習方法、息抜きの方法
・学生時代の思い出や好きな教科
参考:
文化庁「にほんごでおしゃべりしよう!」https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/seikatsusha/h24_nihongo_program_a/pdf/a_35.pdf
まとめ
今回は、授業やフリートークで使えるトピックについて見てきました。
単純に語彙や文法を教えるだけでなく、学習者が日本で生活するにあたって、役立つ情報を入れた練習ができることが理想的です。
学習者の出身国の文化やタブーに配慮しながら、各国の文化について話し合ったり、学習者の自国の文化について紹介してもらったり、異文化理解を深めるきっかけを作っていきたいものです!